大菩薩峠(だいぼさつとうげ)

これも「菩薩」が付いた名前の峠である。中山介山の長編時代小説「大菩薩峠」は机竜之介がこの峠で一人の老巡礼を理由なく辻斬りする場面から始まる。

この峠は江戸・新宿から甲斐に向かう甲州街道の裏街道であった青梅街道上にあった。江戸城の白壁の材料になった石灰石が青梅で産したので新宿から青梅までは整備された街道だったと思われる。しかしその先の丹波宿からは険しい山道で大菩薩峠に向けた登りとなる。そこから下りで甲斐の塩山で甲州街道に合流する。

昔は少ないながらも人や物の往来があったのだろうが、今では大菩薩峠は本格的登山でしか行けないところになっている。

野麦峠(のむぎとうげ)

小説や映画で有名になった峠である。飛騨と信州の境にある。

ところで「野麦」というのは野生のムギのことではなく、この付近に沢山自生している「クマザサ」(隈笹)のことだという。飛騨地方では凶作のときにこの葉を食べたという。だから「野麦」なのかもしれない。

薩埵峠(さったとうげ)

宇津ノ谷峠の近くにかわった名前の峠がある。それが薩埵峠(さったとうげ)。沼津の近くである。漁師の網にかかって引き上げられた地蔵菩薩像(さったの地蔵)を山上に祀ったことからその名が付いたと言われる。

ここは景色がよく富士山と駿河湾が一望できる峠である。綺麗な景色をみてほしい。ライブカメラの画像も見られる。

この峠は甲斐と駿河の境界にあり、武田と今川の戦いの戦場にもなった。