Pythonの話題:「ばらす」演算子(**)と(*)

Pythonでは可変長の引数を持つ関数を作ることができる。


def func( *arg, **kwarg):
    print(type(arg), arg)
    print(type(kwarg), kwarg)

func(1, 2, 3, k1=10, k2=20, k3=30)

結果の出力:


<class 'tuple'> (1, 2, 3)
<class 'dict'> {'k1': 10, 'k2': 20, 'k3': 30}
>>>

このように「ばらす」演算子(*)、(**)を使う。*argでは位置が固定されている実引数をタプルの形で引き取ることができ、**kwargでは、キーつきの引数を辞書の形で引き取ることができる。キー引数は文字列になっていることに注意。

 

Pythonの話題:辞書の結合

二つの辞書があるときそれらを結合して新たな辞書を作る方法:


>>> d=dict(k1=1, k2=2, k3=3, k4=4)
>>> print(d)
{'k1': 1, 'k2': 2, 'k3': 3, 'k4': 4}
>>> d1=dict(k1=1, k2=2)
>>> d2=dict(k3=3, k4=4)
>>> d=dict(**d1,**d2)
>>> print(d)
{'k1': 1, 'k2': 2, 'k3': 3, 'k4': 4}
>>> 

「ばらす」演算子(**)で辞書{‘k1’:1}はキー引数k1=1の形に展開される。文字列が引数名に変わることに注意。こうしてdictの引数にキー引数を与えて、二つの辞書を統合することができる。

「エッシャーが命を懸けて守った男、メスキータ」展

今朝の新聞の美術欄の展覧会の案内である。

サミユル・イェスルン・デ・メスキータは19世紀末から20世紀の当初にオランダで活躍した画家、版画家、デザイナーである。画像のように大胆に単純化された白黒の画面が印象的である。

ユダヤ人であった彼は1944年1月にアウシュビッツ強制収容所で死去。教え子の一人であったエッシャーは師の作品200点をアトリエから持ち出し戦争中も守りとうした。

記事は日本初の回顧展で宇都宮美術館

貝殻で作ったリャマ彫像:チチカカ湖底で発見

今日の朝刊の記事のタイトルである。

南米のペルーとボリヴィアの間にあるチチカカ湖周辺はインカ時代(~17世紀)の宗教儀式をおこなったところらしくこれまでも遺物が発見されていた。

今回の発見はベルギーの研究者たちによるもので写真のように石で作ったはこの中に、貝殻を彫って作った小さいリャマの彫像と小さい円筒形の金箔が入っていた。この貝殻は遠く離れた赤道直下のエクアドルで採れたものである由。

能の物語(白洲正子著)

「能の物語」(白洲正子著)という本がある。能で演じられる代表作を舞台で表現される情景を織り交ぜながらそれらの物語を綴ったものである。

井筒(いづつ)
鵺(ぬえ)
頼政(よりまさ)
実盛(さねもり)
二人静(ふたりしずか)
葵上(あおいのうえ)
藤戸(ふじと)
熊野(ゆや)
俊寛(しゅんかん)
巴(ともえ)
敦盛(あつもり)
清経(きよつね)
忠度(ただのり)
大原御幸(おおはらごこう)
船弁慶(ふなべんけい)
安宅(あたか)
竹生島(ちくぶしま)
阿漕(あこぎ)
桜川(さくらがわ)
隅田川(すみだがわ)
道成寺どうじょうじ)

敦盛(あつもり)、清経(きよつね)、船弁慶(ふなべんけい)、安宅(あたか)等、悲劇のヒーローを題材としたものが多い。

説経節の世界:信田妻(葛の葉)

村上天皇の時代、河内国のひと石川悪右衛門は妻の病気をなおすため、兄の蘆屋道満の占いによって、和泉国和泉郡信太の森(現在の大阪府和泉市)に行き、野狐の生き肝を得ようとする。摂津国東生郡安倍野(現在の大阪府大阪市阿倍野区)に住んでいた安倍保名(伝説上の人物とされる)が信太の森を訪れた際、狩人に追われていた白狐を助けてやるが、その際にけがをしてしまう。そこに葛の葉という女性がやってきて、保名を介抱して家まで送りとどける。葛の葉が保名を見舞っているうち、いつしか二人は恋仲となり、結婚して童子丸という子供をもうける(保名の父郡司は悪右衛門と争って討たれたが、保名は悪右衛門を討った)。童子丸が5歳のとき、葛の葉の正体が保名に助けられた白狐であることが知れてしまう。全ては稲荷大明神(宇迦之御魂神)の仰せである事を告白し、さらに次の一首を残して、葛の葉は信太の森へと帰ってゆく。

恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉

この童子丸が、陰陽師として知られるのちの安倍晴明である。保名は書き置きから、恩返しのために葛の葉が人間世界に来たことを知り、童子丸とともに信太の森に行き、姿をあらわした葛の葉から水晶の玉と黄金の箱を受け取り別れる。なおこの水晶の玉と黄金の箱は、稲荷大明神(宇迦之御魂神)から葛の葉が童子丸に授ける様に仰せを受けて預かっていた。数年後、童子丸は晴明と改名し、天文道を修め、母親の遺宝の力で天皇の病気を治し、陰陽頭に任ぜられる。しかし、蘆屋道満に讒奏され、占いの力くらべをすることになり、結局これを負かして、道満に殺された父の保名を生き返らせ、朝廷に訴えたので、道満は首をはねられ、晴明は天文博士となった。

このブログでも晴明に関連する星祭りを紹介したことがある。

説経節の世界:小栗判官(おぐりはんがん)

あらすじはこうだ:

鞍馬の毘沙門天の申し子として生を受けた二条大納言兼家の嫡子小栗判官が、ある日鞍馬から家に戻る帰路、菩薩池の美女に化けた大蛇の美しさに抗し切れず交わり、妻としてしまう。大蛇は懐妊するが、子の生まれることを恐れて隠れようとした神泉苑に棲む龍女と格闘になる。このために7日間も暴風雨が続き、小栗は罪を着せられ常陸の国に流された。

この場所にて小栗は武蔵・相模の郡代横山のもとにいる美貌の娘である照手姫のことを行商人から聞かされ、彼に頼んで照手に文を渡す。照手姫から返事を受け取るや、小栗は10人の家来とともに、照手姫のもとに強引に婿入りする。これに怒った横山によって、小栗と家来達は毒殺され、小栗は上野原で土葬に、家来は火葬にされる。照手姫は相模川に流され、村君太夫に救われるが、姥の虐待を受け、千手観音の加護により難を逃れたものの人買いに売り飛ばされ、もらわれた美濃国青墓宿の万屋でこき使われる。

一方、死んだ小栗と家来は閻魔大王の裁きにより「熊野の湯に入れば元の姿に戻ることができる」との藤沢の遊行上人宛の手紙とともに現世に送り返される。餓鬼阿弥が小栗のから現われたのを見た上人は手紙を読み、餓鬼阿弥と化した小栗を車に乗せると胸の木札に「この車を引くものは供養になるべし」と書きしたためた。多くの人に引かれた車は美濃の青墓に到着する。常陸小萩の名で働いていた照手姫は餓鬼阿弥が小栗であると知らずに5日間に渡って大津まで車を引き、ついに熊野に到着する。

熊野・湯の峰温泉の薬効にて49日の湯治の末、小栗の業病は完治し元の体に戻ることができる。その後、小栗はに戻り天皇により死からの帰還は珍事であると称えられ、常陸・駿河・美濃の国を賜ることになる。また、車を引いてくれた小萩を訪ね彼女が照手姫であることを知り、姫とともに都に上った。やがて小栗は横山を滅ぼし、死後は一度死んで蘇生する英雄として美濃墨俣の正八幡(八幡神社)に祀られ、照手姫も結びの神として祀られた。

歌舞伎では小栗判官は馬術に長けている。そしてかれを落馬させ殺そうして差し向けられた荒馬(鬼鹿毛)を碁盤の上で乗りこなす。

説経節「小栗判官」の読み下しの全文はここで。

説経節(せっきょうぶし)の世界

海と列島の中世」(網野善彦著)のなかで日本の中性ぼ社会を知る上でj興味があるとして説経節(せっきょうぶし)が紹介されていた。これは中世の口承文学で、主な五つの題目が有名で、それらは「苅萱(かるかや)」「俊徳丸(しんとく丸)」「小栗判官」「山椒大夫」「梵天国」がある。時代によっては「苅萱」「山椒大夫」「愛護若」「信田妻(葛の葉)」「梅若」となる。これらの多くは歌舞伎の中に使われている。

小栗判官(おぐりはんがん)->「小栗判官」

芦屋道満大内鏡(あしやどうがんおおうちかがみ)->「信田妻(葛の葉)」

摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)->「俊徳丸(しんとく丸)」

森鴎外の「山椒大夫」もこの説経節の「山椒大夫」に題材を得ている。能の「弱法師(よろぼうし)」は「俊徳丸(しんとく丸)」による。また「梅若」は能の「隅田川」となった。