「香料の道:鼻と舌:西東」(山田憲太郎著)という面白い本がある。
われわれの身のまわりには実に様々な香料が使われており、使っている。この本はその香料の歴史を東西世界の規模で叙述したものである。
人類の歴史に登場する最初の香料は「乳香」と「没薬(もつやく)」である。何れも南アラビア、東アフリカで採取される芳香ゴム樹脂である。
人類は香料を「焚香料(incense)」、「化粧料(cosmetics)」そして「香辛料(spices)」として使ってきたが、乳香は焚香料であり、没薬は化粧料の用途が大きい。没薬(もつやく)の「没」は苦味(ビッター)を表す漢字であり、その名前からして没薬は苦い。薬としても使われていた。