折角(せっかく)と折檻(せっかん)

漢字「折角」も「折檻」も折(お)るという漢字を含んでいる。

何を「折る」のかが問題。

折角では「折る」のは角(つの)であり、折檻では「折る」のは「おり」ではなくて「てすり」である。

こんな話が「中国名言集:弥縫録」にあった。

前漢末の人に朱雲という人が当時宮廷で高慢な振る舞いをしていた五鹿充宗(ごろくじゅうそう)という易学の大家を易学の問題で論争し徹底的に論破した。人々はこれを

五鹿獄獄、朱雲其の角(つの)を折る

と言い合った。

これが「折角」である、つまり「高慢ちきの鼻をへし折る」ことである。

同じく朱雲は丞相となった張禹(ちょうう)という人物が無能なことに憤慨して皇帝に諫言したが、この諫言に激怒した皇帝は彼を死刑にするように命じた。朱雲はそれにもめげず檻(てすり)にしがみついて諫言を続けそれを引き離そうした役人との力較べでてすりが折れてしまった。

これは「折檻」である。つまり「下から上を強く諌める」ことである。

これには付録がある。反省した皇帝は折れたてすりの修理をさせず、諫言を歓迎する意を示した。それ以降中国の歴代王朝では宮廷造営の際てすりの一部をわざと欠くことをしきたりとしたという。

「折角」も「折檻」も現在の日本では大変に違った意味に使われているが、それらの漢字の字面を見ると元来の意味に納得する。

折角面白い話を読んだので紹介した。