「フタリシズカ」と「ヒトリシズカ」

二つとも春の野の花の名前である。「ヒトリシズカ」が最初でそれと対比するかたちで「フタリシズカ」という名前が付いたのかと思ったら、実は逆で「フタリシズカ」がありこれと対比するかたちで「ヒトリシズカ」という名前が付いた。

フタリシズカ」の名前の由来は能の「二人静」による。

「能の物語」(白州正子著)によれば「二人静」の物語はこうだ:

「吉野山の勝手神社の女官が里に下りて春の若菜摘みをしているときに静御前の霊と遭遇しその霊にとりつかれて静御前のように舞を踊りだす。そんな最中に静御前の霊もその踊りに加わり二人して相舞を演ずる。」

これが「二人静」。この相舞の様子から「フタリシズカ」の花の名前がでた。

これに対して「ヒトリシズカ」がある。