「あそび」と法律

裁判というのは法廷という日常から離れた特別な空間で、法服と鬘まで着けた法官が登場する。これらは「あそび」の形式的な特徴である。

ギリシア人のあいだでは法廷での両派の抗争は一種の「討論」とみなされていた。厳しい規則に従いながら抗争する二派が審判者の裁きを要求する闘争であった。訴訟は競技であった。

訴訟における正邪より、原始的な法意識の奥深くに遡ってゆくほどに勝利の期待という要素が強くなる。「あそび」の要素が前面にでてくる。

ホイジンガ著「ホモ・ルーテンス」より