ケプラーの第三法則

ケプラーは有名な三つ法則を太陽系の惑星の運動に関して発見している。第一の法則は地動説にたってみると火星の運動は太陽を一つの焦点とする楕円運動であること。第二は火星は太陽から離れているときはゆっくりであるが、近いと速い速度で運動するという「面積速度一定」の法則があること。これら二つの法則は太陽から火星までの絶対的な距離のデータは必要としない。火星の遠近(相対的な距離)は火星の明るさの変化で推定できる。これらの法則は1609年に公表されている。

第三法則は太陽系を構成する惑星の間に成り立つ法則で、少し様子の異なる。「惑星の太陽からの平均距離の3乗と公転周期の2乗との比は、惑星によらず一定である」とよく表現される法則で、1619年の公表された。この法則の確認には一つ一つの惑星の平均距離が必要になる。よく考えれば惑星ごとの平均距離の比(木星の平均距離は火星の平均距離の3倍とか)でよい。さらに考えれば、地球より太陽に近い内惑星(水星、金星)は地球からみてその惑星が太陽から最大離れる角度(最大離角)の値が観測できるので、その離角の比が平均半径の比になる。この値で水星、金星に第三法則が成り立つか確認できる。さらに木星の衛星(4つ)を使うこもできる。木星の衛星の運動はミニ太陽系である。各衛星が木星か最大離れる角度が衛星間に平均半径の比になるからだ。

ケプラーが第三法則を発見するに際して使ったデータの詳細が不明であるが、地球より外側にある惑星の距離のデータはまだなかったと思われる。例えば火星までの距離はケプラーより約50年後の1671年にカッシーニの観測で初めて得られた。もしかしたらケプラーは内惑星(水星、金星)だけ使って第三法則を出したのかもしれない。