農林水産省が検討を進めている「飼養衛生管理基準」の改定案が畜産農民の中に不安を広げているというニュースが今朝の新聞に載った。
家畜伝染病が発生した際の「放牧中止」などの項目である。農民運動全国連合会も意見書を出した。その中で肉用牛の繁殖雌牛の17パーセント、酪農での飼養頭数の23パーセントが放牧であり、この中止条項の影響は大きい。放牧は耕作放棄地の解消や森林・農地の維持に大きな役割を果たしており、放牧が家畜伝染病の感染リスクを高めるという科学的な根拠は示されていないいう。
また記事は「放牧の中止はSDGs(持続的開発目標)やアニマルウェルフェア(動物福祉)を進めている国際社会の流れに逆行する」(畜産農民全国協議会の会長の森嶋氏の発言)という発言も載せている。
これらの運動があって「放牧中止」の項目は改正案から削除されることになったが、図らずも役所の現状認識や世界的な潮流に対する認識不足を露呈する結果となった。