これもユーザインタフェースの話である。
トグルスイッチまたはトグルボタンというものがある。二つの状態をとるスイッチでスイッチを押すと現在の状態から別の状態に切り替わる。
我が家でも電灯を付けたり消したりするトグルスイッチが使われている。電灯が消えているときにそのスイッチを押すと電灯が付き、電灯が付いているときにそのスイッチを押すと電灯が消える。つまりこのスイッチは二つの状態を取ることができるスイッチである。しかしスイッチの外見からはそのスイッチが今どちらの状態にあるかを知る手がかりは全くない。このスイッチは小スペースに配置できる利点があるが、これがこのスイッチの欠点である。
「誰のためのデザイン?認知科学者のデザイン原論」のなかで著者のD.A. ノーマンはこのトグルスイッチをよくないデザインの例として取り上げていた。
例えば、このスイッチをエレベータのドアの開閉に使ったとしよう。
ドアが開いていたらそのボタンを押すとドアが閉まり、ドアが閉まっていたらこのボタンを押すとドアが開く。しかしドアの状態が見えないとこのボタンは有効に使えない。
エレベータのユニヴァーサル・デザインではドアを閉めるボタンとドアを開けるボタンは別々になっている。