日本密教の本を読んでいたら密教の日本的な展開の上で「権現思想」が大きな役割を果たしていることが分った。
その権現思想とは
仏教が輸入され従来の日本の神々と競合し仏教が優位にたってくる状況で、仏教の仏と日本の神々と折り合いが付けられた。日本の神々は仏教の仏が変化したものであるという発想である。これが「権現」である。この発想は奈良時代にもうあったもので、平安時代の「本地垂迹(ほんちすいじゃく)説」の萌芽である。
この権現思想は山嶽信仰で重要になる。例えば、大峯山の本尊は「蔵王権現」(ざおうごんげん)である。この権現は「金剛蔵王権現」(こんごうざおうごんげん)が正確な名前である。
宮城と山形の間にある蔵王山(ざおうさん)の名前の起源もこの「蔵王権現」のように思われる。