馬頭観音

馬頭観音は江戸時代には馬の守護神として流行するが、本来はこの逆で馬頭観音は馬を人の守護神として信仰したものだと思う。アジアでは古来からいろんな動物に不思議な力が宿っているとして、動物や動物を似せた像を信仰してきた。
古い例では、天平時代の有名な阿修羅に代表される八部衆の中に「五部浄」(ごぶじょう)という像がある。阿修羅と同じように少年の顔つきをしているが、頭部に象の冠をかぶっている。この「五部浄」以外の八部衆も殆どが何らかの形で動物と関連している。
馬頭観音もこのように、馬に何か神秘的な力を感じて信仰対象としたことを起源としているように思われる。江戸時代の流行は、この「馬」の字面から馬の守護神であると安易に転用したものであろう。
因みに、広辞苑によれば、馬頭観音は、「頭部に馬頭をいただいて憤怒の相をした変化観音。馬頭を直接頭とするものもある。…馬頭明王ともいい八大明王の一つ」とある。

レイタウン海岸競馬

アイルランド(Ireland)の レイタウン(Laytown, County Meath)で行われている海岸競馬についてテレビで見た。海水は疲れた馬の脚を癒す効果があるということで海水の中をゆっくり走る馬の映像から始まった。この海に沿った砂浜で年に一度だけ競馬レースが行われる。それがレイタウン海岸競馬である。番組はこのレースに出る馬を調教する二つの厩舎で、夏の二ヶ月の間馬の世話をする三人の少年達(10才前後)と馬の交流を軸に展開する。この少年達は騎手を目指しているが、この世話には、馬房の掃除、馬の飼料やりなど馬全般の世話をするし、調教師の指示に従って、調教のために騎乗やレースに見立てたギャロップも含まれている。これらの少年はジュニアの競馬レースの騎手でもあり、レースで優勝する少年もいる。
一人の少年は学校に馴染めずなにについても自信が持てないでいたが、この馬の世話を通して少しずつ自信を持ってくる。この少年が馬が大好きな様子が印象的だった。この少年は最後にはこの海岸競馬の当日の出走馬のレビューのために、世話した馬を引いて観衆に見せる役割を任される。
このレイタウン海岸競馬は海岸線に沿った直線コースで、長さは約一マイルから二マイル程度のものである。番組では、ボランティア達によるコースの整備の様子なども紹介された。この小さな町の一大イベントである。