わが国における乗馬の習慣

世界史的にみると馬に乗る習慣は馬の家畜化の過程でおきたものである。この家畜化・乗用化は黒海・カスピ海ステップで紀元前4000年あたりのことである。この解明は馬の乗るときにハミを使うがそのハミによる臼歯の磨耗の特徴を調べたことによる。以前のこのブログでもこのことに触れた。

我が国では古墳時代後期(六世紀)の遺跡から鐙や鞍の遺物が沢山出土することからこの時代あたりから乗馬の習慣が始まったと思われている。しかし出土した鞍などは華美なもので実用に供したのかは疑問である。胡服を着て馬を扱っている人物の壁画があるが、これも乗馬ではない。

今回は時代が下るが万葉集(七世紀から八世紀の歌)に現れる馬を歌った歌の中に明らかに乗馬を意味する情景があるか調べてみる。

馬に関する歌は沢山ある。これは当時馬はかなり日常的な風景として存在したことを示唆している。その中で「乗馬」に直接的に触れた歌がある。例えば:

塩津山(しほつやま)打ち越え行けば、わが乗れる、馬そつまづく、家恋(こ)ふらしも

意味: 塩津山(しほつやま)を越えて行くと、私が乗っている馬がつまづきました。きっと、家のものが私のことを想っていてくれるのでしょう。

あきらかに騎乗している馬である。作者は笠朝臣金村(かさのあそんかなむら)という人物である。

関東上空「火球」再び

これも天体現象の記事である。

新聞によれば21日の夜(午後10時半ごろ)、関東地方の上空で流星の中でも明るい「火球」が出現した。

7月には関東地方で午前2時半ごろに「火球」が目撃された。

一般に流星(「火球」はその中でも明るいもの)は彗星が太陽周辺を通過する際に放出された物質が彗星の軌道に沿って残されている中を地球が通過するときにそれらの物質が地球の大気圏と接触することで落下燃焼する現象である。だからその接触する場所は太陽からみたら一定の場所になる。ペルセウス座流星群というのはその場所がペルセウス座の方向にある。スイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)が流星の材料を提供している彗星である。

「火球」という現象は地表からの高度が低く(だから関東地方のみで確認された)大気圏をどの様な経路で落下してきたのか分ると面白い。

小惑星「2020QG」、地球に最接近

今朝の新聞に記事のタイトルである。

火星と木星との間に小惑星帯があり、大きいものだけでも1万個以上の小惑星が存在している。小さいものは無数にあるが、他の大きな小惑星の影響を受け、地球にまで接近するものもある。

今回の記事の小惑星「2020QG」もそのような小惑星の1つだったのだろう。記事によればこの小惑星は直径3~6メートルと自動車なみの小さなもので、最も接近したのは16日午後1時8分(日本時間)、南インド洋上空2590キロであった。この距離は国際宇宙ステーションの高度の7倍強にあたるが、観測史上、小惑星の接近記録としては最小距離との由。

地球の大気圏が高度約500キロであることを考えるとかなり遠くを通過したことになるが、この小惑星の軌道は地球の重力の影響を受けているらしい。

無限階段と無限音階

エッシャーの話がでたので関連するだまし絵とだまし音階の話をしたい。

まず「無限階段」:原理はこれた。作品を一つ。

この「無限階段」に似たものに「無限音階」がある。床屋の看板にあるが単にそこで回転しているだけなのにパターンは常に上昇しているように見える。これを音階として表現したものである。

実例はここにある。

ヒトの耳の可聴音域は約20ヘルツから2000ヘルツで、最も感度かよいのは1000ヘルツである。20ヘルツ以下の音や2000ヘルツ以上の音はヒトの耳には聞こえない。単音で周波数が上昇する音を聞くと音階が上昇していることを認識するがこの単音は2000ヘルツを越えるとヒトには聞こえなくなる。「無限」ではない。ところが複数の単音を次から次に発生させ、常に可聴音域に周波数が上昇する単音があるようにすると、ヒトは常に上昇する音が出てると錯覚する。

おれが「無限音階」の原理である。

この「無限に高く(低く)なっていく音」は1964年にベル研究所のRoger N. Shepardが考案した「1オクターブ上がっても最初と同じに聞こえる音」によるもので「シェパードトーン(無限音階)」と呼ばれている。

 

Python備忘録:ジェネレータの実際

ジェネレータはnext関数を使って呼び出す。この関数の呼び出し毎にジェネレータは一定の長さのデータを吐き出す。この機構を使って動画ファイルをフレーム毎に読みこむことにする。このような例をimageioモジュールで見てみる。このモジュールは様々な画像ファイル(動画ファイルを含む)を処理することができる。今回の例は動画ファイルを読み込みヴィデオ表示するPythonプログラムである。

プログラム例


#coding: utf-8
import tkinter as tk, threading
import imageio
from PIL import Image, ImageTk

video_name = "test.mp4" #ここにヴィデオ・ファイル名を書く
video = imageio.get_reader(video_name)
gen = video.iter_data()
def stream(label):
    def showlabel():
        global count
        try:
            image=next(gen)
        except: 
            return
        frame_image = ImageTk.PhotoImage(Image.fromarray(image))
        label.config(image=frame_image)
        label.image = frame_image
        label.after(14, showlabel) #フレーム・レイトの調整
    showlabel()

if __name__ == "__main__":

    root = tk.Tk()
    root.title('TKinterでヴィデオを見る')
    my_label = tk.Label(root)
    my_label.pack()
    thread = threading.Thread(target=stream, args=(my_label,))
    thread.daemon = 1
    thread.start()
    root.mainloop()

赤い文字の部分がジェネレータに関連する部分で、video = imageio.get_reader(video_name)はファイルを読み込む機構の設定で、video.iter_data()でその機構にジェネレータの性格を付与している。

iter_data()
Iterate over all images in the series. (Note: you can also iterate over the reader object.)

と説明がある。
image=next(gen)でフレーム毎にデータを読み込みそれをimageに代入している。フレーム毎にデータを読みこみデータが尽きるとエラーになるのでエラー処理をしている。

Python備忘録:関数でジェネレータをつくる

関数でジェネレータをつくることもできる。


def reverse(data):
    for index in range(len(data)-1, -1, -1):
        yield data[index]

この関数ではreturn文の代わりにyield文を使う。yield文がfor文の内部にあることに注意。yield文に達するとこの関数は一時停止し値を返すが、この関数のローカル変数などは保持されたままである。この一時停止の解除はこの関数を呼んだプログラムの要請による(同期している)。
上の関数の実行例を示す。


>>> s = reverse('golf')
>>> s
<generator object reverse at 0x0000000002ED07C8>
>>> next(s)
'f'
>>> next(s)
'l'
>>> next(s)
'o'
>>> next(s)
'g'
>>> next(s)
Traceback (most recent call last):
  File "<pyshell#7>", line 1, in 
    next(s)
StopIteration
>>> 

 

Python備忘録:クラス定義によるジェネレータ

ジェネレータの性格を持ったクラスを定義することができる。例を示す:


class Reverse:
    def __init__(self, data):
        self.data = data
        self.index = len(data)

    def __iter__(self):
        return self

    def __next__(self):
        if self.index == 0:
            raise StopIteration
        self.index = self.index - 1
        return self.data[self.index]

このクラス定義で__next__メソッドがあることが重要である。このメソッドがnext関数の定義をなしている(これはクラスの__str__メソッドがそのクラスの固有のprint関数の定義になっていることと同じである)。__iter__メソッドも同様にiter関数を定義するものであるが今は何もしない。
結果は


>>> s = Reverse('flog')
>>> next(s)
'g'
>>> next(s)
'o'
>>> next(s)
'l'
>>> next(s)
'f'
>>> next(s)
Traceback (most recent call last):
  File "<pyshell#6>", line 1, in 
    next(s)
  File "<pyshell#0>", line 11, in __next__
    raise StopIteration
StopIteration
>>> 

となる。

国府・多賀城と海との関係

律令制のもとで国府が各地に作られたが、陸奥の国府は現在の多賀城市(多賀城跡)に設置された。国府の設置された場所はそれなりの理由で選択されたと思われるが、多賀城のばあいは何であったのだろうか?

それは海かもしれない。多賀城が作られた8世紀ごろの海岸線についてははっきりしないが、縄文時代まで遡ると海岸線がずっと内陸にあったらしく現在は内陸になっている近郊の利府や岩切といったところが海岸線であったらしい。多賀城の創建当時はかなり海岸線に近いところに建てられたのではないかと思われる。

海が近いと便利なことは一つは海上交通の便がよいことであり、二つ目は海産物とくに塩が身近に得られることである。

海上交通では太平洋側は大変だったはずで、日本海側の中世の「廻船」に比較して近世になってようやく「東廻り」が開拓されたほどだから8世紀ごろは現実的な問題となっていなかったと思われる。

塩の問題が面白い。国府が行政組織であれ軍事組織であれ多くの人間が常駐しているわけで「兵糧」の問題が深刻であったはずだ。特に塩は重要なもので近くに塩が得られる場所があると都合がよい。塩釜の製塩がいつごろから始まったのははっきりしないが、多賀城に近い塩釜神社では原始的な製塩法である「藻塩焼神事」(もしおやきしんじ)が現在も行われており、製塩の古さを示唆している。塩が身近に得られるところは国府に相応しい場所と考えたのではないか。

Python備忘録:イテレータとジェネレータ

  • イテレータとは、プログラミング言語において配列やそれに類似する集合的データ構造(コレクションあるいはコンテナ)の各要素に対する繰り返し処理の抽象化である。 … 実際のプログラミング言語では、オブジェクトまたは文法などとして現れる。 JISでは反復子(はんぷくし)と翻訳されている。

Pythonに即してみると:


>>> a='abcd'

>>> for a in a:
	print(a)
a
b
c
d
>>> 

より基本的なイテレータはiter関数を使うものである:


>>> d=dict([(1,'one'),(2,'two')])
>>> d
{1: 'one', 2: 'two'}
>>> it = iter(d.items())
>>> next(it)
(1, 'one')
>>> next(it)
(2, 'two')
>>> next(it)
Traceback (most recent call last):
  File "<pyshell#7>", line 1, in 
    next(it)
StopIteration
>>> 
  • ジェネレータは、プログラムにおいて、数列の各要素の値などを次々と生成(ジェネレート)し他の手続きに渡す、という機能を持っている手続きである。つまりイテレータを生成する手続きである。大事なことはジェネレータは要請がある毎に一つ一つ要素を生成することである。

Pythonチュートリアル」(Guido van Rossum著)で示した例:


def reverse(data):
    for index in range(len(data)-1, -1, -1):
        yield data[index]

for char in reverse('golf'):
    print(char)

ジェネレータを一行で書くこともできる。


>>> g = (x**2 for x in range(5))
>>> g
<generator object <genexpr> at 0x0000000002ED07C8>
>>> next(g)
0
>>> next(g)
1
>>> 

ジェネレータは大きなファイルを要請のある毎に読むなどのとき便利な機能である。をみよ。

 

済州島の馬と倭寇(わこう)

済州島のシンボルは馬(済州馬)であるが、この小型の馬の起源はかなり古いらしい。

海と列島の中世」(網野善彦著)によれば、中世に「倭寇(わこう)」と呼ばれていた海の人々(海人)は西北九州、済州島、朝鮮半島の南端に渡るひろい範囲に住む人々からなり、「船を以って家となす」と言われていたように船や海に長けていた人々であったが、騎馬にも優れ多くの馬を所有してたという。その馬の牧場(牧)が済州島にあった。