南北朝時代と日本の宗教

海と列島の中世」(網野善彦著)によれば、日本の歴史において南北朝の動乱は非常に大きな契機でこれを境に日本の社会のあり方が大きく変わったという。その一つが宗教の役割である。この動乱を通して「聖なるもの」の価値が失墜する。その「聖なるもの」の一つが仏教であった。律令制を背景にした奈良仏教は天皇の権威の失墜と共に失墜し、新しくおきた「鎌倉仏教」は時代とともに世俗の権力によって押さえ込まれてしまう。

こうして日本は宗教が殆んどない時代になる。