夏越祓(なつこしのはらい)

もう一つ古式の雰囲気を残す夏の祭りを紹介したい。それは夏越祓(なつこしのはらい)である。

縄解きの神事が始まる。神前に供えられいた短い縄の山が神官たちによって参拝者に配られる。一人に二本ずつ、一本は右より、もう一本は左より。祝詞が詠まれる。参拝者はみな右縄の一端を口にくわえ、右手で縄の撚りを解く。また祝詞が詠まれるが、今度は左縄で同じことをする。すっかり解けてしまった縄で体にあちこちをさする。これによってその人の災厄や不祥の全てが縄に移される。この縄はあとで人形(ひとかた)とともに川に流される。

川原に祭壇が作られている。その祭壇には人形が置かれている。人形は白紙に人形を黒や赤で画いたものである。この人形がさきほどの縄と一緒に川に流される。これが夏越祓(なつこしのはらい)である。

人形を流す風習は平城京の時代でも知られている。穢れやそれを浄める祓いは古い時代からあったわけである。