気候危機の科学①:計算機の中に「仮想地球」

今朝の新聞の記事のタイトルである。

地球大気のコンピュータ・モデルの話である。

真鍋淑郎(しゅくろう)氏(プリンストン大学・ノーベル賞受賞者)は一次元モデルから初めて全地球規模の3次元大気モデルを作ることに成功した。そしてこのモデルで大気中の炭酸ガスの濃度を300ppm(ppm:100万分の1)から150ppmに減らしたばあいや600ppmと増やしばあいの地表付近の温度変化を求めてみた。これで炭酸ガスの濃度が地表近くの温度に及ぼす効果を定量的に見積もることができるようになった。

なぜ炭酸ガスか?地球に降り注ぐ太陽の光は可視領域にピークを持つ(太陽は表面は5500度程度の温度を持つ)一方地球の表面は15度程度なのでそこから放射される光は赤外線が多い。炭酸ガスは太陽の光にたいしては作用しないが地球からの赤外線を大きく吸収する。その結果地球の大気の温度を上昇させる。

コンピュータ・モデルの精度は?これは予測精度で検証すればよい。数値予報は「10日先の予報ができるようになってきた」(増田善信元気象研究所研究室長)。この限界が気象システムの強い非線形性によるカオスであるとすると限界は原理的なものである。そう言えばカオス現象を初めて見つけたローレンツも気象学者である。一方物理素過程の理解不備によることも考えられる。物理素過程で難しそうなのは地球大気で起きる乱流の取り扱いのような気がする。

しかも乱流は熱を運ぶ。三次元モデルで乱流がどうように扱われているか気になった。

 

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