重量級のウマたち(6):ブルトン

今回のウマはブルトン(Breton)。画像はここ

このブルトン(Breton)は北西フランスの固有種である。この地はブルトン人が移り住んだところで、このウマの起源はブルトン人の故郷である英国ウェールズのブラック山地である。かつては四つの固有タイプが知られていて、その一つは乗用馬であった。今日では重量馬であるブルトンと軽量なブルトン・ポスチエ(Bureton Postier)である。

速くおとなになる重量級のウマは食肉の需要があった。ポスチエは肢の毛が少なく軽量なサフォーク・パンチと同様に力強い速歩で走る。かつては大砲を曳くウマとして用いられたが、ブルトンは軽量な農耕馬として理想的である。

岩手の「ちゃぐちゃぐうまっこ」のウマもブルトンである。

 

重量級のウマたち(5):サフォーク・パンチ

今回のウマはサフォーク・パンチ。画像はここ

サフォーク・パンチ(Suffolk Punch)はその栗毛ゆえに全く独特なウマである(サフォークホース協会はこの栗毛を”chesnut”というこれも独特なスペルを常に使う)。”punch”はその外見からで短足・樽胴なウマという意味。言い得て妙である。

 

重量級のウマたち(4):ノリーカー

今回のウマはノリーカー(Noriker)である。

ノリーカー(Noriker)
ノリーカー(Noriker) by Paula Jantunen

ノリーカー(Noriker)はヨーロッパで最古の重量馬の一つである。名前の由来はローマ帝国の属州であったNoricum、現在のオーストリアによる。Noricumはハフリンガーの生まれ故郷となるウマの生産が盛んなVenetii(ヴェネト)に隣接していた。自然な流れとしてこれらの二つの品種の交流があった。近代的なノリーカーはオーストリアで依然として人気が高く、中央アルプス地帯で様々な目的に使われてきた。

ノリーカーは堅牢で強力な中間的な大きさの作業用のウマである。体型上の標準では管骨(Cannon bone)の周囲が20-24cmはあり、肢が短く、腹帯の部分で体高の60%より少ないことはないことが条件。ずんぐりとした体型のウマである。

重量級のウマたち(3):シャイヤー

今回のウマはシャイヤー(Shire)である。画像はここ

シャイヤーは最高級の重量馬と思われている。特に英国で絶大な人気があり、どちらかといえば数の増加が見られる。シャイヤーという名前は英国内のリンカンシャー (Lincolnshire)、レスターシャー (Leicestershire)、スタッフォードシャー(Staffodshire)そしてダービーシャー (Derbyshire)の四行政区(Shire)に由来する。

シャイヤーは強靭なことで知られている。そして重量馬の中で最も重量のあるウマの品種である。成長すると2,240-2,688lb (1,016-1,219kg)にもなることがある。このサイズや強靭さにも拘わらず大人しく制御しやすいウマである。

 

 

重量級のウマたち(2):ペルシュロン

今回のウマはペルシュロン。画像はここ

アラブ種に多くを負っているがペルシュロンは最も人気のある重量級のウマの一つである。体毛がなく皮膚の問題を度々おこすが、カナダや米国に勢力的に輸出された。

原産はフランス・ノルマンディーの石灰石で有名なラ・ペルシュ(La Perche)地方。その祖先は紀元732年にトゥール・ポワティエ間の戦いでウマイヤ朝の進撃を食い止め、西ヨーロッパへのイスラム教徒の侵入をイベリア半島でとどめたシャルル・マルテルの騎士たちを乗せた。それ以来東方の血がフランスのウマの生産に利用されるようになったといわれている。11世紀以降さらに東方の血が利用されるようになり、ル・パンでは1760年よりアラブ種の牡ウマが使われ始めた。アラブ種の交配、特に1830年に誕生した牡ウマ、Jean le Blancによる影響が大きい。このような影響にも拘わらず大きさやパワーは変わっていない。世界で最も大きなウマはペルシュロンのDr. Le Gearである。体高は21ハンヅ(210cm)で体重は1372Kgもあった。

 

重量級のウマたち(1):ユトランド

重量級のウマたちは個性的だ。そんなウマたちを紹介したい。

今回はユトランド。 画像はここ

ご覧のように運んでいるビール樽のように丸いウマである。デンマークの重量級の固有種である。中世またはそれ以前からユトランド半島で飼育されている。元来は農業や運搬に用いられていたが、数が減少した今日では醸造業者の大荷馬車を曳いている姿でヨーロッパの街角で見かける。

多くの重量級のウマたちと同じように、ユトランドは先史時代の森林の中にすんでいた冷血種のウマから発展したものである。12世紀ごろまでは重量、耐久性そして経済効果に着目した頑強な軍事用のウマとして飼育されていた。19世紀になって現生のユトランドの形ができあがった。

 

 

地域ごとにみたウマの品種(2)

  1. Italy: Maremmana, Bardigiano, Salerno, Sardinian, Murgese, Italian Heavy Draft
  2. Spain: Andalusian
  3. Portugal: Sorraia, Lusitano, Alter-Real
  4. Morocco: Barb
  5. Greece: Skyrian Horse,  Pindos Pony
  6. Middle East: Caspian, Arabian
  7. N. Eurasia: Bashkir, Akhar-Teke, Budenny, Kabardin, Karabakh, Orlov Trotter, Don
  8. Mongolia: Prezewalski’s Horse
  9. India: Indianbred, Kathiawari
  10. Australia: Australian Pony, Australian-Stock Horse
  11. North America: Rocky Mountain Pony, American Shetland, Chincoteague/Assateague, Sable Island, Pinto, Missouri Fox Trotter, Mustang, Morgan, Standardbred, Palomino, Quarter Horse, Tennessee Walking Horse, Appaloosa, Colorado Ranger
  12. Mexico: Galiceno
  13. South America: Falabella, Criollo, Paso, Polo Pony

分類=(ポニー、 軽量級、 重量級

参考文献:Smithsonian Handbooks Horeses.

地域ごとにみたウマの品種

  1. Iceland: Icelandic Horse
  2. Norway: Fjord, Dole Gudbrandsdal
  3. Finland: Finnish Horse
  4. Sweden: Swedish Warmblood, Gotland, North Swedish Horse
  5. Denmark: Danish Warmblood,  Frederiksborg, Knabstruper, Jutland
  6. Netherlands: Friesian, Gelderlander, Groningen, Dutch Warmblood
  7. Belgium: Belgian Warmblood, Brabant
  8. Poland: Hucul, Konik, Wielkopolski, Traknehner
  9. Germany: Oldenburg, Holsteiner, Wurttemburg, Bavarian Warmblood, Hanoverian, Rhinelander
  10. Austria: Haflinger, Noriker
  11. Hungary; Nonius, Furioso, Shagya Arab, Lipizzaner
  12. France: Ariegeois, Landais, Pottock, Selle Francais, French Trotter, Gamargue, Anglo-Arab, Boulonnais, Ardennais, Breton, Percheron, Norman Cob
  13. UK&Ireland: Highland, Dales, Fell, Hackney Pony, Connemara, Exmoor, Dartmoor, New Forest Pony, Welsh Mountain Pony, Welsh Pony, Welsh Pony of Cob Type,  Riding Pony, Thoroughbred, Hackney Horse, Cleveland Bay, Irish Draft, Welsh Cob, Hunter, Hack, Cob, Clydesdale, Suffolk Punch, Shire

分類=(ポニー、 軽量級、 重量級

参考文献:Smithsonian Handbooks Horeses.

馬体の名称(5)

馬体の名称図
馬体の名称図(LET’s Enjoy Ridingより)

後躯(こうく)

  1. 尻(しり)-> Haunch 発音
  2. 臀(でん)-> Croup
  3. 臀端(でんたん)-> Point of Croup
  4. 股(また)-> Thigh 発音
  5. 後膝(あとひざ)-> Rear knee
  6. 脛(すね)-> stifle
  7. 飛節(ひせつ)-> Hock
  8. 飛端(ひたん)-> Point of hock
  9. 夜目(よめ)-> Chestnut
  10. 管(かん)-> Shank
  11. 球節きゅうせつ)-> Fetlock-joint
  12. 距毛(きょもう)-> Fetlock
  13. 繋(つなぎ)-> Pastern
  14. 蹄冠(ていかん)-> Coronet
  15. 冠毛(かんもう)-> Pappus
  16. 蹄(ひづめ)-> Hoof
  17. 尾根(びこん)-> dock 発音
  18. 尾毛(びもう)-> The hair of the tail

馬体の名称(4)

馬体の名称図
馬体の名称図(LET’s Enjoy Ridingより)

前肢(ぜんし)

  1. 肘(ひじ)-> Elbow
  2. 前腕(まえうで) -> Fore-arm
  3. 夜目(よめ)-> Chestnut
  4. 前膝(まえひざ)-> Fore-knee
  5. 管(かん)-> Shank(canon-bone)
  6. 球節(きゅうせつ)-> Fetlock-joint
  7. 距毛(きょもう)-> fetlock
  8. 繋(つなぎ)-> Pastern
  9. 蹄冠(ていかん)-> Coronet
  10. 冠毛(かんもう)-> Pappus 発音
  11. 蹄(てい)-> Hoof 発音