Pythonでマクロ(6):ラジオボタンを使う

「ラジオボタン」というコントロールがある(libreOfficeではオプションボタンと呼んでいる)。名前の由来は古いラジオには選局用のボタンが複数付いており、選局はそのボタンの一つを押すとその局の放送が聞けるようになっていた。当然他の局のボタンはオフの状態になる。つまり複数のボタンの一つをオンにするとその他のボタンは自動的にオフになるような複数のボタンがラジオボタンである。

【配置】今回は「ラジオボタン」を三つ、普通の「ボタン」を一つ、そして「テキストボックス」を一つ配置する。詳細は省くがこのままでは三つの「ラジオボックス」はそれぞれ独立して動く。この三つの「ラジオボックス」をコントロールの一つである「グループボックス」で囲ってやると、この三つは連動して動く。

ラジオボタンを含むダイアログ (三つのラジオボタンを囲むグループボックスが微かに見える)

【マクロ】このダイアログの意図していることは「ラジオボタンの一つを選択し、「確認」ボタンを押すと選択したボタンのラベルが表示される」である。

試作したマクロを示す:


#coding: utf-8
import uno
import screen_io as ui
import unohelper
from com.sun.star.awt import XActionListener

class MyActionListener(unohelper.Base, XActionListener):
  def __init__(self, rbtns, langs):
    self.rbtns = rbtns
    self.langs = langs
  def actionPerformed(self, evnt):
    for i, rbtn in enumerate(self.rbtns):
      if rbtn.State:
        print(self.langs[i])
        msg = 'やっぱり'+self.langs[i] + 'ですね'
        ui.Print(msg)

def createDialog():
  ctx = XSCRIPTCONTEXT.getComponentContext()
  smgr = ctx.getServiceManager()
  dp = smgr.createInstanceWithContext("com.sun.star.awt.DialogProvider", ctx)
  dialog = dp.createDialog("vnd.sun.star.script:Standard.Dialog1?location=application")
#コントロールの登録
  rbtn1 =  dialog.getControl("radioButton1")
  rbtn2 =  dialog.getControl("radioButton2")
  rbtn3 =  dialog.getControl("radioButton3")
  rbtns =[rbtn1, rbtn2, rbtn3]
  langs = ['Python', 'Java', 'Perl']
  cmdbtn1 = dialog.getControl("commandButton1") 
#エヴェント監視(ボタンが押されたとき)
  btn1_listener = MyActionListener(rbtns, langs)
  cmdbtn1.addActionListener(btn1_listener)
  dialog.execute()
  dialog.dispose()

各ラジオボタンのオン。オフの状態は各ボタンの属性Stateの値で判定できる。

 

Pythonでマクロ(5):コントロールを制御する

Pythonでマクロ(4):ダイアログ(フォーム)の配置で配置したダイアログ上にある部品(コントロール)を制御する。

このダイアログには「テキストボックス」と「ボタン」の二つのコントロールが配置されている。

このダイアログの意図していることは
『ユーザが「テキストボックス」に語句を入力し、「ボタン」をクリックするとこの語句が別の窓に表示される』という簡単なものである。
マクロは以下のようになる:


#coding: utf-8
import uno
import screen_io as ui
import unohelper
from com.sun.star.awt import XActionListener

class MyActionListener(unohelper.Base, XActionListener):
  def __init__(self, ctrl):
    self.ctrl = ctrl
  def actionPerformed(self, evnt):
    ui.Print(self.ctrl.Text)

def createDialog():
  ctx = XSCRIPTCONTEXT.getComponentContext()
  smgr = ctx.getServiceManager()
  dp = smgr.createInstanceWithContext("com.sun.star.awt.DialogProvider", ctx)
  dialog = dp.createDialog("vnd.sun.star.script:Standard.Dialog2?location=application")
#コントロールの登録
  txtf1 =  dialog.getControl("TextField1")
  cmdbtn1 = dialog.getControl("CommandButton1") 
#エヴェント監視(ボタンが押されたとき)
  btn1_listener = MyActionListener(txtf1)
  cmdbtn1.addActionListener(btn1_listener)
  dialog.execute()
  dialog.dispose()

ダイアログ自体の登録は以前紹介したマクロと同じである。新たに登録したものはテキストボックス(名称:TextField1)とボタン(名称:CommandButtam1)の二つのコントロールである。

クラスMyActionListenerは親クラスunohelper.Baseと XActionListenerを継承している。。この新たなクラスは親クラスXActionListenerで定義されているメソッドactionPerformedを再定義するためのものである。メソッドactionPerformedはコントロール(今の場合はボタン)をマウスの左ボタンでクリックしたときのイヴェントを処理するメソッドである。コントロール「ボタン」で起こり得るイヴェントはこれ以外にも沢山ある(15個)。例えばmouseEntered 。これはマウスがそのコントロールに入ったときのイヴェントで、親クラスはXMouseListenerである。詳細はここで。

メソッドactionPerformedではクラスMyActionListenerのインスタンスbtn1_listenerの引数として渡されたコントロールtxtf1の属性Textの中身をPrint文で表示する。各コントロールが持つ属性の詳細はここで。

 

 

Pythonでマクロ(4):ダイアログの配置

作成したダイアログをLibreOffice:Calcのシート画面上に配置するだけのマクロである。

【ダイアログの作成】

シート画面のプロダウンメニュ「ツール」->「ダイアログの管理」と進む。管理画面で配置ツリーから「マイダイアログ」-> 「Standard」と進み、それをクリックすると連番号のダイアログ名(今はDialog2)が現れる。「新規作成」のボタンを選ぶとマッサラなダイアログ画面がでる。

この画面にいろんな部品(コントロールと呼ぶ)を配置する。

作例では「テキストボックス」(名称:TextField1)と「ボタン」(名称:CommandButtom1)を配置した。プレビューで実際のダイアログの画面が現れる。作例の画面を示す:

上のコントロールが「テキストボックス」で、下のコントロールが「ボタン」である。このダイアログはユーザが「テキストボックス」に字句を入力して「ボタン」を押すとその字句がプログラムで使える(例えばその字句をCalcの表に表示する)。

【配置】

このダイアログをCalcのシート上に配置するマクロを作ってみる。マクロの全体は以下のようになる:


#coding: utf-8

import uno
import unohelper

def dialog_example(*args):
     ctx = XSCRIPTCONTEXT.getComponentContext()
     smgr = ctx.getServiceManager()
     dp = smgr.createInstanceWithContext("com.sun.star.awt.DialogProvider", ctx)
     dialog = dp.createDialog("vnd.sun.star.script:Standard.Dialog2?location=application")
     dialog.execute()
     dialog.dispose()

Basicのマクロ記述に比較すると結構複雑な記述になる。Transfer from Basic to Pythonに詳しい説明がある。

泥縄窯(どろなわかま):名前が面白い

今朝の新聞の「ひと」欄には、タイトルのような面白い名前の窯で焼しめで陶器を作っている中島浩文さんが紹介されていた。

陶器の町佐賀県武雄(たけお)市でその泥縄窯の窯元として釉薬(うわくすり)を使わない焼し締めという方法で陶器を製作している。焼き締めの面白さは「窯を開いたときに、思いかけないものができていることがある」と語っている。

Pythonでマクロ(3):セルの属性(文字の色等)を変える

表計算(Calc)のシート画面で条件にしたがって文字の色を変えるマクロである。

10X10のセルには0から100までの数値が書かれている。これは教課目の試験の点数だ。これに対してユーザは及第点を入力する(ui.InputBox関数を使う)。マクロではこの及第点と点数を比較して及第点に及ばないときはこのセルの中の文字を赤にする。

マクロ全体を示す:


#coding: utf-8
import uno
import screen_io as ui
import random

def level_judge_macro( *args):
  doc = XSCRIPTCONTEXT.getDocument()
  sheet = doc.Sheets[0]
  for  i in range(10):
    for j in range(10):
      sheet.getCellByPosition(i,j).Value=random.randrange(101)
#
  level = ui.InputBox('及第点を入力してください')
  level_v = int(level)
  for  i in range(10):
    for j in range(10):
      cell = sheet.getCellByPosition(i, j )
      point_v =int(cell.Value)
      if point_v < level_v:
        cell.CharColor = 0xff0000

  return

セルの属性(文字の色)は
cell.CharColor = 0xff0000
で16進定数で与えた。

InputBoxの実行イメージは:

とラベルの付いた入力窓である。

東北大学片平キャンパス周辺のメタセコイア

米ヶ袋の広瀬川の岸辺近くには珪化木となったメタセコイアが沢山見られる。下の写真はその一つである。近くにある説明板によると約300万年まえに大量の火山灰に埋もれたメタセコイアである。

珪化木となったメタセコイア

片平キャンパスには沢山メタセコイアが植えられている。下の写真は旧理学部生物棟近くに植えられたメタセコイアの大木である。

旧理学部生物棟のメタセコイア

右の建物が旧理学部生物棟(通称赤レンガ)である。このメタセコイアは嘗て米国から東北大学に贈られた三本の苗木の一つの成長したすがたと思われる。

構内にはメタセコイアが並木に植えられているとことが幾つかある。下の写真は構内北門近くにあるメタセコイアの並木である。

メタセコイアの並木

近くにある案内板の説明によればこの並木は前の写真の旧理学部生物棟にあったメタセコイアから挿し木として移植されたものである。メタセコイア(あけぼの杉)と書いてあった。

Pythonでマクロ(2):マクロ実行ボタンを作る

LibreOfficeでマクロを実行するときに便利なマクロ実行ボタンを配置することにする。

LibreOfficeのCalcの表計算のシート上にマクロ実行ボタンを付けることにする。

ボタンはフォーム機能が持つ部品の一つである。Calcの画面でプルダウンメニュー「表示」-> 「ツールバー」-> 「フォームコントロール」を選択し、フォーム作成のためのツール一覧を出しておく。

まず一覧窓の上部にあるフォーム機能の切り替えをデザイン・モードする。様々な部品が使えるようになる。その中の「ボタン」選択し、シートの適当な場所にドラックして配置する。

設置したボタンアイコンを右クリックしてメニューから「コントロールのプロパティー」を選択する。「全般」ではボタンの表面にあるタイトルを変えたり(例えば「マクロの実行」)、ボタンの背景色を変えたりできる。「イベント」ではこのボタンで起こり得るイベントとそのイベント処理プログラム(イベント・ハンドラ)を繋げることをする。今の場合は「ボタンが押されたとき」に問題のマクロが実行されるように繋ぐ(マクロに実行関数は引数なしでよいが、イベントハンドラーでは不定個数の引数を取れるようにする。つまりmacro()  -> macro(*arg))。

これで準備ができた。デザイン・モードをオフにしてボタンを押してみる。マクロが実行されることを確認する。

フォーム実装例

【重要】このまま表を保存すると再度この表を開いたときにはフォームはデザインモードになっている。これは開発中であればよいがこのフォームをユーザが使うときは都合が悪い。表を開いたときにフォームのデザインモードがオフではじめたい。そのためにはこの表を保存するまえに

プルダウンメニュ「ツール」-> 「フォーム」-> 「フォームナビゲーター」選択。そのナビゲーター画面で「フォーム」を右クリックしデザインモードを解除した後に保存する。

メタセコイア発見から80年:身近な「生きた化石」

今日の朝刊のコラム「気になるサイエンス」の記事のタイトルである。

仙台にはメタセコイアの木が沢山生えている。

東北大学川内キャンパスにあるメタセコイアの並木

このメタセコイアは現生種より化石が先に発見された。発見者は三木茂博士。いまから80年前のことである。博士は約1千万年前から100万年の地層で後にメタセコイアと命名される針葉樹の葉付き枝や球果の化石を発見し、これが現生のセコイアやスマスギの仲間と違う特徴を持っていることを確認。今は絶滅した「未知の植物」であるとしてメタセコイアと命名した。後に中国で現生種が発見され日本にも導入された。

三木博士が教鞭をとっていた大阪学芸大学(現在の大阪市立大学)の植物園はメタセコイアの日本のメッカである。

Pythonでマクロ(1):誕生日から今日まで日数を知る

LibreOfficeのマクロをpythonで作ってみた。

標題のように「誕生日から今日まで日数を知る」ためのマクロである。表の誕生日データ(年、月、日)を使い目的の日数を表に記入する。

【例】1950/12/05生まれの人は今日(2021/04/29)までで25713日経過している。

暦計算ではユリウス日(Julian Day)が使われる。これは紀元前4713年1月1日からの連続した通し番号の日数である。この連続した日付けを使うと誕生日から今日までに経過した日数を知ることができる。Pythonではdatetimeモジュールでこれらの機能を提供している。これをマクロで使う。

プログラムの全体は以下のようになる:


#coding: utf-8
import uno
import screen_io as ui
import time
from datetime import date

class Birthday:
    def __init__(self, mydate):
        self.year= mydate[0]
        self.month=mydate[1]
        self.day= mydate[2]
    def get_date(self):
        return date(self.year, self.month, self.day)
    def get_days(self):
        today = date.today()
        my_birthday=date(self.year, self.month, self.day)
        time_to_birthday=abs(today-my_birthday)
        return time_to_birthday.days
    def get_years_days(self):
        my_birthday=date(self.year, self.month, self.day)
        today = date.today()
        today_year=today.year
        my_last_birthday=date(today.year-1,self.month, self.day)
        lastday=date(today_year-1,12,31)
        my_birthday_thisyear=date(today.year, self.month, self.day)
        daydiff_today=abs(today-lastday)
        daydiff_birthday=abs(my_birthday_thisyear-lastday)
        if daydiff_today > daydiff_birthday:
            yearspan=today.year - my_birthday.year
            dayspan=abs(today-my_birthday_thisyear)
        else:
            yearspan=today.year - my_birthday.year-1
            dayspan=abs(today - my_last_birthday)
        return (yearspan, dayspan.days)
        

def elapsed_days_macro():
    doc = XSCRIPTCONTEXT.getDocument()
    sheet = doc.Sheets[0]
    today=date.today()
    msg = "今日は"+str(today)+"です。"
    ui.Print( msg)
    #データのある行数を調べる
    sRange = sheet.getCellRangeByName("A1")
    sCursor=sheet.createCursorByRange(sRange)
    sCursor.collapseToCurrentRegion()
    MaxDataRow = sCursor.Rows.Count-1
    for  i in range(MaxDataRow):
        year = int(sheet.getCellByPosition(0, i+1 ).Value)
        month =int(sheet.getCellByPosition(1, i+1 ).Value)
        day =  int(sheet.getCellByPosition(2, i+1 ).Value)
        mydate=(year, month, day)
        my_birthday=Birthday(mydate)
        sheet.getCellByPosition(3,i+1).Value=my_birthday.get_days()
        sheet.getCellByPosition(4,i+1).Value=my_birthday.get_years_days()[0]
        sheet.getCellByPosition(5,i+1).Value=my_birthday.get_years_days()[1]
    return

LIbreOfficeのPythonマクロで使える関数・定数などの情報は「マクロの森」が詳しい。また、ASOPのデバッガやコンソールはプログラミングに結構役に立つことが分った、

 

ASOP(Alternative Script Organizer for Python)を使ってみる

LibreOfficeのマクロをPythonで作るときに使えるユーティリティーにASOPというLibreOffice用の拡張機能がある。

ASOPの詳しい説明はここにある。

【準備】

早速最新版のapso.oxtファイルをダウンロードする。

LibreOfficeへの登録は

  • libreOfficeのアプリケーションの一つを開く。プルダウンメニューの「ツール」->「拡張機能マネジャー」
  • 登録済みの機能が表示される。
  • 追加ボタンを押してダウンロードしたaop.oxtファイルを指名する。
  • 登録が終わるとASOPが登録済みとなる。この窓の左下のあるオプションボタンを選択して、コードを記述するためのエディターを登録する(terapadを登録してみた)。

【実行】

早速ASOPを使ってみる。

Calcの「ツール」->「マクロ」->「Pythonスクリプトの管理」を選択する。ASOPの管理窓がでるので実行したいマクロを選択する。管理窓の「メニュー」から「デバッグ」を選ぶと以下のようなデバッガの画面がでる:

デバッグ画面

この画面で「端末」ボタンを押すとPythonコンソールの別画面が出る。「次へ」のボタンでプログラムの一行毎の実行と変数の値等が表示される。apso.oxtのインストールと同様にMRI.oxtをインストールしておくとこのデバッガの画面で変数の名前空間の性質も調べられる。「編集」ボタンで登録したエディタでマクロの編集ができる。「再スタート」ボタンを押すと編集の結果が反映される。「終了」ボタンを押すとデバッガは終了する(このデバッガはかなり有効に使える感じである)。またマクロにprint文があるとASOP管理下ではコンソールその出力がでる(これはprint文の多用したデバッグには便利)。