ヨーロッパ中世においても被差別民がいた(中世賎民の宇宙(阿部謹也著))。
日本の中世とヨーロッパ中世との決定的違いはヨーロッパにおけるキリスト教の存在である。キリスト教下では日本のように「穢れ」の蓄積が病気や不運の原因になるといった観念はなかったと思われる。それにも拘わらず、革剥、羊飼、牧人、犬革なめし工、家畜を去勢するものなどが差別された。
農村における共同体の発展や都市におけるギルドの発生によって社会の組織化が進み、これらの組織の枠外にある人々が出てきた。これらの人々が被差別民であった。枠外にあることが直ちに蔑視に繋がらないが、利害が対立する中で「蔑視」の雰囲気が醸成されたのかもしれない。