庚申と馬

日本古街道探訪」の中に「中馬街道」というのがある。これは三河と信州とを結んだ馬による塩輸送の道である。そのなかに街道に沿って庚申碑が驚くほど沢山あるという指摘があり、これが馬の護り神になっていたことが分かる。
馬の護り神と言えば馬頭観音がよく知られいるが、守庚申に登場する「猿」も馬の護り神である。街道に沿って庚申塚や庚申碑が多いこともこの馬と猿とによるのかもしれない。
守庚申は庚申の日には人々が眠っている間に体の中にいる三尸虫(さんしちゅう)が天に昇りその人の罪過を天の主に告げることを防ぐために寝ないでおしゃべりをしたりする習俗であるが、この三尸虫と「申」とが結合して「見ざる」「聞かざる」「言わざる」の三猿ができた。庚申碑にはこの三猿を表現したものも多い。
一方、猿は山の神(山王)の使者である。山王は馬頭観音より古い歴史を持つ馬の神である。それで山王の使者である猿ー>三猿ー>庚申碑の図式ができあがった。これから庚申碑を馬の護り神に祈念する碑に転用することになったと思われる。

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