三国志の呂布や関羽が乗っていた馬が「汗血馬」である。一日で千里を走ると言われていた名馬であった。その生産地は前漢(西紀元前100年ごろ)の烏孫(うそん)国であった。天山北路の昭蘇平原もその国に含まれていた。「シルクロード 1万5000キロを往く」(今村遼平ら編著)によれば現在の昭蘇平原もウマが沢山飼育されているという。
一概にウマといってもウマ(Equus)は四つのタイプに分類されている。体高の違いで「ホース」と「ポニー」に分類される。さらにこの「ホース」も「ポニー」も二つに分類される(ポニーのタイプ1、ポニーのタイプ2、ホースのタイプ3、ホースのタイプ4)。ホースのタイプ4は西アジアから広まったものでアラブウマがその典型であり、サラブレットもここに入る。ホースのタイプ3は中央アジアから広まったもので、Akhal-TekeやCaspianといった現生品種がこのタイプのウマである。
生産地域から見て「汗血馬」はホースのタイプ3であったと思われる。このタイプのウマは体毛が薄い。汗をかくと血管が浮き出て赤く見えたので「汗血馬」と言われた。こんな説はどうだろうか?