西川如見:「命理の天学」と「形気の天学」

「徳川合理思想の系譜」(源 了圓著)で暦学者の西川如見を取り上げている。如見は「命理の天学」と「形気の天学」を提唱した。これは科学的方法論の「実験(観測)」と「理論」との関係を彷彿させる。

しかし、かれにとっては「命理の天学」はあくまで朱子学の思弁的理論天文学であり、この双方の天学は不可分なものとしているが、「形気の天学」から「命理の天学」へのフィードバックまたその逆の「命理の天学」から「形気の天学」へのフィードバックも予定されていない。

「命理の天学」は余りにも思弁的・哲学的であり、「形気の天学」との距離があり過ぎた。これでは双方からフィードバックは期待できない。日本の学問はこの距離をいかに縮めるかという方向で発展したように思われる。

日本の本格的な暦学は外来の中国の暦を日本独自の暦に置き換えることから始まった。このような機運は同じく外来の朱子学の「命理の天学」への距離を縮めることに繋がったと思われる。

惑星の運行の理論模型はプトレマイオスまで遡る。この古い理論模型はケプラーなどの火星の運行に関する観測によって否定されコペルニクスの理論モデルに置き換わった。これは科学的方法論の典型である。

 

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