奈良:「幻のヤマトの道」

天理市の近くに都祁(つげ)という地名のところがある。この地名の村では弥生時代後期前後の遺物が数多く出土するという。「大和路散歩」のなかではこの都祁(つげ)を含む道を「幻のヤマトの道」として紹介している。

筆者が興味をもった点は、この地がその後の大和権力の発祥の地かもしれないという点だ。大和権力は大和盆地を基盤としてるがこの地は大和盆地の縁にあたる土地であり、弥生時代後期では人口密集地であったからだ。この中から部族長的な存在が成長し大和権力へと成長したのかもしれない。

この都祁の近くに白石の国津神社がある。この神社の東側に豊かな田園を挟んで二つの峯をもつ野野上(ののかみ)岳がある。向かって右にある峯が雄ヶ岳、左が雌ヶ岳で、この二つの峯の中間(これは二つの峯の間の鞍部のように見える)に向かって田園の中に四ヶ所の叢林がある。これをやすんばという。画像はここ

白石の国津神社から見て朝日が峯の中間から出現する時期がこの里で稲の播種の時期であるという。これが面白い。これは大陸から暦がもたらされるずっと以前から日本にあった自然暦の伝統である。このような自然暦は日本の各地に残っているが、この都祁の例は稲作が始まった当初からあったもののように思える。

 

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