多様なポニーたち(12):ウェリッシュ・マウンテン・ポニー

今回のポニーはウェリッシュ・マウンテン・ポニー(Welsh Mountain Pony)。画像はここ

ウェリッシュ・マウンテン・ポニーは英国の山岳および湿原ポニーの中では多分最も数が多い品種である。このポニーはウェリッシュ・ポニー(Welsh Pony)やウェリッシュ・コッブ(Welsh Pony Cob Type)への基礎になった。

ローマ帝国がブリテンに侵攻するずっと以前から在来種のポニーがウェールズの丘陵地帯に住んでいた。ローマ人たちによって東欧の血統が導入され、この影響は1894年Dyoll Starlightによる品種創設開始まで続いた。

ウェリッシュ・マウンテン・ポニーはポニー種の中では最も美しいポニーだと思われている。その美と同様にその頑強さや代々に受け継がれた穏健さはこのポニーが育ったウェールズの高地の野生環境から引き出されたものである。

 

 

多様なポニーたち(11):シェトランド

今回のポニーはスコットランドのシェトランド(Shetland)。画像はここにある。

その大きさに比較してシェトランド諸島の小柄のポニーは世界最強のウマ科動物である。一人のおとなを乗せて田舎の悪路を歩くこともできるし、重い荷重を乗せて農場で働くこともできる。今や大変な人気で全ヨーロッパ中はもとより北米やオーストラリアで飼育されている。小さな子どもの騎乗や牽引用としてそしてサーカスからの需要がある。

このポニーの生まれ故郷は荒涼としたシェトランド諸島である。その冷酷な環境がこのポニーの性格や大きさを規定した。このポニーのシェトランドへの到達は10000年以上まえでスカンジナビアからかもしれない。19世紀にはシェトランドは炭鉱で使われ、より重いタイプのポニーが出てきたが、今ではそれは殆んど消滅してしまった。

 

 

多様なポニーたち(10):エクスムーア

今回のポニーはイングランドのエクスムーア。画像はここ

英国の山岳および湿原ポニーの中で最古のエクスムーアはウマ科の動物として古いものであろう。エクスムーアはその祖先であるポニーのタイプIの多くの特徴を持っている。例えば臼歯が7本あるなど他のウマ科にはない特徴を持っている。

育産はイングランドの南西にあるエクスムーアが最適。「改良」を目指した努力はことごとく失敗し古形を残している。エクスムーアから離れたところで飼育するとこの古形は直ぐに失われてしまうが元に戻ると復活する。

エクスムーアは強靭なウマで普通の大人が騎乗できる。自生的ではあろが、子どもの乗馬には最適なウマでり、例外的には障害飛越に向いたものもある。

 

多様なポニーたち(9):バシキール

今回のポニーはロシアのバシキール(Bashkir)。画像はここ

バシキールは南西ウラル山脈の平原に住む少数民族であり、そこに生息するウマがバシキールである。

バシキールは非常に頑強なポニーである。食肉やミルクのためと同様に荷駄、牽引そして乗用馬として国家管理のもので飼育されている。一頭の牝ウマが7から8ヶ月続く授乳期間に出すミルクの量は350ガロン(1600リットル)に達する。体毛が巻き毛になっていることから米国には約1000頭の”Bashkir Curly”と呼ばれているバスキール・ポニーがいる。北西部のアメリカ先住人たちといたという評判がある。

バシキールはバシコルトスタン共和国内のウラル山脈の南山麓あたりで数千年前から進化した。二つのタイプのバシキールがロシア共和国で育成されてきている。山岳ポニーと平原ポニーである。後者は牽引用のウマとしての用途が主流である。
バシキールは時には氷点下になる野外で群れをなして飼育されていて自分で活路を見つけることができ、深い雪のしたから食料を見つけることができる。栗毛が多いこのポニーは厚く巻き毛の冬毛を持っている。この頑強なポニーの中では補助的な食料なして重労働に従事できるものもある。二頭のバシキールが橇を曳いて食餌なして24時間かけて120-140キロメートルも走行したという記録もある。

 

 

小勒ハミの役割

「乗馬読本」によれば、ハミは勒を構成する他の部分と共に口と顎の下記の部分に作用する:

(a)唇及び口角
(b)下顎枝
(c)舌
(d)口蓋
(e)項(うなじ)
(f)頤凹(おとないくぼ)
(g)鼻。

最も一般的な関節付きの小勒ハミは主として上記の(a)、(b)、(c)に作用する。

輪乗りや旋回に際して内側手綱を開くと外側ハミによる圧力が増えウマはこれを避けようと内側を向く。

小勒ハミ(snaffle)の装着について

最も一般的な小勒とそれに使うハミ(小勒ハミ)の装着について考えてみる。小勒ハミには様々な形があるが、「乗馬教本」(日本馬術連盟)によれば一般的に以下の注意が必要である:

「ハミというものは、特に関節付きの小勒ハミはその幅が適切であることが大切である。ハミをウマの口に食ませてハミの両端を手で持ちハミの関節が口の中でまっすぐになるようにして測る。そのとき両端にそれぞれ0.5cmはみ出るようなハミの幅が適切である。

ウマの下顎と小勒ハミ
ウマの下顎と小勒ハミ{「乗馬読本」より)

ウマの口に対してハミの高さを正しくするには、まずハミの両端を一指幅程度垂れ下がるように食ませる。それから口角に軽く一しわを作る(ウマに「笑み」を作らせる)が、しわができすぎないように頬革を調節する。」

とあり、それぞれのウマに合ったハミの装着が必要なことがわかる。

頭絡の五つのタイプ

Smithsonian Handbooks-Horsesによればヨーロッパ風の乗馬で用いられる頭絡には五つのタイプがある。それらは:

  • snaffle
  • double bridle
  • pelham
  • gag
  • hackamore

日本語では

  • 小勒(しょうろく)
  • 大勒(だいろく)
  • ペラム
  • ギャグ
  • ハカモア

多様なポニーたち(8):ソーライア

今回はポルトガルのポニーであるソーライア(Sorraia)。画像はここ

ヨーロッパで最初の家畜化されたウマはイベリア半島のウマたちであると考えられている。それらの初期のウマ科の後裔たちをスペインやポルトガルで見つけることができる。このソーライアもその一つで体毛の色と体型は原始的なウマのターパンにそっくりである。

ソーライアはソル川とライア川の間の平原に生息していた。そして一時期には有名なアンドラダ一族は野生の状態でこれを飼育していた。北アフリカのバルブ種(barb)強い影響が嘗てあったこの野生状態の飼育は名声高いスペインのウマの生産に貢献した。

数世紀の間ソーライアは地元のカウボーイや軽い農作業に使われてきた。嘗ては何の変哲もない馬であると考えられてきたが、大きな重い頭や尾のある位置が低いなど全ての面でソーライアは野生の祖先の原始的な力強さを残している。

「ハミ」に関する議論

ウマを制御する上で「ハミ」は必要か?、という議論がある。

ハミはウマにとっては不快感だけを与える装置だとして「ビットレス」乗馬を奨励しているところもある。

一方G. Heuschmann:”Balancing Act: The Horse in Sports- An Ineconciable Conflict?”では次のように述べている:

「…勿論ハミによる虐待はありうる。しかし、それを正しく使うことによって調和ある乗馬ができるようになる。これはよい乗馬の核心である。無知な人はナイフによる殺人があったので全てのナイフは捨てるべきと主張するかもしれない。全ての道具やトールはそれを使う人の良し悪しによってきまる」とハミの使用を擁護している。

この主張では「正しく使う」とはどういうことか?が最大の論点になる。また「正しく使う」ことが大変に困難な道具である場合はその道具の使用を諦めるという視点もある。

勒(ろく)

勒(ろく)という漢字を「漢字源」で調べると

  1. 【名詞】馬の頭にかけて、馬を御する革ひも。馬のハミをつけるおもがい。頭絡ともいう。「白馬ハ嚼齧ス黄金ノ勒」(杜甫・哀江頭)
  2. 【動詞】かってに動かないように引き締める。「抑勒」
  3. 【動詞】ほどよく調整する。また文章を石にきざみこむ。

とある。