超新星爆発「木に記録か」:年輪の炭素14濃度が急上昇

朝刊の記事のタイトルである。

太陽系の近くで過去にあった超新星爆発の影響を地球の木が記録している可能性があるという話。米国コロラド大学の研究者たちの発見である。

コロラド大学のロバート・ブレーケンリッジ博士たちは古い木の年輪に含まれている放射性元素(炭素14)を調べた。年輪に含まれる炭素14が急上昇する例をいくつか見つけた。これは木が光合成をする際に大気から吸収した炭酸ガスにこの炭素14が沢山あった年代があったことを示唆している。

超新星爆発との関連を見ると南天のほ座の方向約815光年の先ある恒星が1万3000年前に起こした超新星爆発(現在は超新星残骸と中心なる中性子星によるVelaパルサーとして観測されている)を初め4例は炭素14の急上昇と対応関係があるとの由。

炭素14の上昇は太陽フレアでも起こるが博士は超新星爆発との関連も調べる価値があると述べている。

 

放送大学構内の秋

昨日は天気がよかったので東北大学片平キャンパス構内にある放送大学の建物(旧東北大学理学部生物棟)の周辺の秋をカメラに収めた:

紅葉と古めかしい建物

 

光と影そしてブナ
紅葉の写り込み

砂丘の動力学:砂丘はお互いに「コミュニケーション」している

砂の集合体は面白い性質を持っている。砂時計がそのよい例である。

Newscientistにあった記事であるが、その砂の集合体である砂丘が動く機構の話題である。

ケンブリッジ大学の研究者たちは実験でこの機構を調べた。実験で使った装置は「dune ‘racetrack’」と呼ばれているものである。回転する円筒型の水槽中に砂丘を見なした同じ大きさの砂の塊を二つ離して置き、装置を回転(水も回転運動をする)してこれらの塊の動きを観察する。

水は粘性があるので回転槽よりゆっくりと回転する。だから回転槽に乗ってみると水は回転槽の反対方向に回転する流れを作る。この流れで二つの砂丘は移動する。この二つの砂丘の移動の様子をカメラで撮影した。この動きが面白い。

最初のうちは上流側にある砂丘が下流側にある砂丘に近づく動きをみせるが、徐々に上流側にある砂丘の接近速度が落ちて下流側にある砂丘と同程度になる。さらに観察すると今度は下流側の砂丘が上流側の砂丘から離れる動きをする。この動きは長く続き、二つの砂丘が180度も離れるまで続く。ここが平衡点らしい。このような動きは上流にある砂丘がその下流に作る乱流によるものと考えられている。

砂丘群の動きは個々に砂丘がかってに動くのではなく、お互いに相互作用をしながら動いているわけである。このようなメカニズムが砂丘が作りだす見事な波型パターンの形成に関わっていると研究者たちはみている。

 

 

ウクライナと古ヨーロッパの考古学

われわれの関心があまりないがウクライナや現在のブルガリア、ルーマニア、そしてハンガリーなどの古ヨーロッパと呼ばれている地域の考古学が面白い。

面白いのは一つにはこの地域はインド・ヨーロッパ語族の発祥の地かもしれないことである。東は古インド語のサンスクリットから西の古英語まで共通の起源となった言語インド・ヨーロッパ祖語があったと考えられているがその起源の問題でこの地域が注目されている。紀元前4000年ごろの話である。

もう一つは乗馬の起源である。この地域の考古学遺跡から大量の馬の骨が見つかっている。野性の馬はもちろんであるが多くの証拠から家畜化された馬のものも大量に出土する。この地域で最初の馬の家畜化が始まったと考えられている。しかも乗馬の習慣が始まったのもこの地域であることが分っている。乗馬の最初は先行して家畜化されていたヤギやウシを馬に乗って管理するためだったと思われている。

乗馬の習慣を持った人々がその機動性を生かして様々な方面に移動・定住することによってその人たちが話していた言語を拡げたのではないかというシナリオが考えられている。このシナリオに従えば乗馬の習慣を持った人々が話していた言語がインド・ヨーロッパ祖語であるということになる。この言語が拡散・方言化することでインド・ヨーロッパ語族ができあがったことになる。

こんな壮大なストリーが生まれるのが「ウクライナと古ヨーロッパの考古学」である。紀元前4000年ごろのこの地域の考古学資料を使ってこのような視点を詳論した”The Horse the Wheel and Language”(David W. Anthony著)が面白い。

「洗濯板」から「クッション」へ:「ハミ受け」の効用

内方姿勢と隅角(ぐうかく)通過」の記事で「ハミ受け」のできた馬は乗りやすいと述べた。その理由が表題のように「『洗濯板』から『クッション』へ」である。

「ハミ受け」のできた馬は馬体全体が丸くなる。背中も丸くなる。このことによって背中のクッション性が大きくなる。「洗濯板」のように硬かった背中が「クッション」のように柔軟になりバウンドを吸収してくれるので乗り手にとっては揺れの小さい馬となる。

内方姿勢と隅角(ぐうかく)通過

乗馬の話題である。

馬場レッソンで隅角(ぐうかく)通過の課題がある。

長方形の馬場の四隅を直径6メートルの4分1の弧を描くように馬を進ませる課題である。このとき馬に内方姿勢を取らせて曲がらなければならない。だから隅角(ぐうかく)通過は馬に内方姿勢を求めるよい機会である。これには乗り手の手綱操作だけでなく乗り手のバランスのとり方が必要となる。しかし、多くに見られる間違いは隅角(ぐうかく)通過を深く入りたいために、内方姿勢を放棄して馬を外に向けてしかも乗り手のバランスも崩れてしまう乗り方をしてしまうことである。

レッスンでは
①隅角(ぐうかく)周辺にある蹄跡は予め消しておく。馬は異常に蹄跡に固執するので、隅角周辺の蹄跡はレッスンの邪魔になる。
②隅角に予めブロックをおき、通過の目安とする。馬も乗り手も無理しないで済み、内方姿勢を維持しやすい。

どうしてこのようなことを書いたか。
バウンドの大きな駈歩をする馬に乗っていると乗り手の尻が突き上げられ鞍に「ドスン」と落ちる乗り方になってしまう。これを解決する方法を考えていた。

バウンドの大きな駈歩をする馬に乗るときの上の問題の究極の解決方法は「その馬にハミ受けをさせて乗る」というコメントにであった。これだと思った。確かにハミ受けのできた馬の揺れはすごく小さい。ハミ受けと内方姿勢は繋がっている。だから内方姿勢の徹底が必要である。隅角通過、輪乗り、駈歩発進で内方姿勢を徹底する必要がある所以である。

種苗法「改正」の問題点:農家の自家増殖を原則禁止

今朝の新聞の記事のタイトルである。

食は人間の生活に必須。その食を担う農業で栽培植物の種や苗の扱いを定めたものが種苗法であるが、「改正」の動きがある。

この新聞の記事はその問題点をシリーズで載せている。

種苗法では新品種を開発して登録した場合、開発者の知的財産を保護する(育成者権)。同時に種苗法では農家が購入した種や苗を育て収穫して翌年再び自分の農地でこれを種苗として使うことを認めている(自家増殖)。

「改正」では登録品種については自家増殖を原則禁止とし、農家は毎年許諾料を払わないとこの品種を使えない。

調査では5割程度の農家が登録品種を使って自家増殖を行っていて、この「改正」の影響は大きい。しかも特産物には登録品種が多い。例えば米では、作付け面積が多い「コシヒカリ」。これは育成者権がいない一般品種だが、「コシヒカリ新潟BL」は登録品種である。このように細かく見ると登録品種は多い。またブドウでは登録品種は9パーセントだといわれているが、山形県では大粒種だと56パーセントと多い。北海道のコムギは99パーセント、大豆が86パーセント、沖縄県のサトウキビは50パーセント以上が登録品種である。

今回の「改正」の理由は優良品種の海外流出を防ぐためだとされている。
しかし、海外流出と不法な海外での使用を止めさす決め手はその品種を海外でも登録することである。これまでは政府は海外での品種登録をサボっていた。これが原因である。

 

 

どくろ星雲の新画像:欧州南天天文台が公開

今日の朝刊の記事のタイトルである。

南天にある惑星状星雲をチリにある欧州天文台(ESO)の超巨大望遠鏡(VLT)で撮影した画像が公開されたという話である。

この惑星状星雲、「NGC246」は距離1600光年のところにある。この惑星状星雲を作った赤色超巨星は現在は白色矮星として観測されているが、この星は見えない褐色矮星を含め三つの星からなる連星系をなしているという。これらの影響なのかこの惑星状星雲は素直な球形にならず歪な形をしており、ヒトの頭のように見えることから「どくろ星雲」と呼ばれている。画像がここで。

宮城県美術館:県民にとって貴重な財産

宮城県美術館は宮城県民の貴重な財産である。

宮城県美術館は県民が常設展や特別展を通じて長い歴史を持つ絵画や彫刻作品を落ち着いた雰囲気の中で鑑賞できる場を提供し、また県民ギャラリーや創作室の利用を通じて芸術活動を支援している。この施設は県民の文化享受と文化創造の貴重な場を提供している。しかも多くの識者たちが指摘しているように建物(本館や佐藤忠良記念館)や周囲の庭そしてそこにおかれた彫像群はそれら自体が文化財的な価値を持っている。

宮城県美術館は開設から30年以上が経っている。全ての文化財が補修を必要とするようにこの文化財も補修が必要である。事実県の依頼を受けた宮城県美術館関係者の間で補修の検討が進められ、既にその骨子は答申されていると聞く。

このような状況の中で県は県民会館の移設と抱き合わせで宮城県美術館の国立病院跡地への移転を突然に関係者に提案してきていると聞く。この「抱き合わせ」の提案の細部は不明であるが、美術館の補修を検討してきた関係者をはじめ多くの人々はこの県の対応に対して大きな不信感を募らせてる。

宮城県美術館はそれ自体文化財であり、県民の貴重な財産である。安易な「スクラップ・アンド・ビルド」ではなく、補修計画に沿ってこの財産を長く保たせる道こそが今求められていることである。