1960年代に唯一の野生馬として発見され、各地の居留地で飼育されその後計画的な繁殖が行われたプルツェワスキー馬(E. przewalskii)は1994年に16頭が野生に放たれ現在はその数が100頭までになっている。
ところでこのプルツェワスキー馬と現生の家畜馬(E. caballus)とはどのような関係にあるのか。これは盛んに議論されてきたがまだはっきりとした結論がでていない。現生の家畜馬は元々は野生の馬で、6000年前に人間と接触し家畜化の道を選んだ馬たちの後裔である。
この二種類の馬たちは異なった数の染色体を持っていることが分っているが、この馬たちはほぼ同じミトコンドリアDNAの系列を持っているので品種の違いにすぎないと示唆されきた。
ところが2003年にドイツの研究者たち(元の論文はここ)がプルツェワスキー馬のY染色体に同定された部分の種ごと変動を調べ、現生馬とプルツェワスキー馬は12万年から24万年まえに分かれた種であることを突き止めた。家畜馬は6000年前の野生馬だから、この二種の馬は品種の違いすぎないという議論は成り立たないことになる。研究者たちはプルツェワスキー馬はシマウマやロバと近親種であることを示唆している。