大和盆地の東と西に三輪山と二上山がある。これらの二つの山が万葉集などに頻繁に現れるわけを小川光三著「大和路散歩」で知った。
よくこの二つの山は春分や秋分の日における太陽の出没に関連させる指摘があるが、小川氏はこの二つ山は盆地で始まった稲作農業と関連があると指摘している。三輪山からの太陽の出現は田植えの目安になり、二上山に太陽が沈む時期は収穫の目安になったとうわけである。
この指摘は「春分」「秋分」は大陸から暦がもたらされた以降のことに対して、農耕と関連した自然歴はそれ以前に遡る歴史を持っているはずであることを意味してる。
本居宣長は「真歴考」のなかで日本の歴がもたらされる以前の自然歴の状態を想像して、特定の山々から太陽の出現を例としてあげているが、三輪山と二上山は正にその例である。