馬の「身長」

馬の「身長」は図のように「き甲」から地面までを垂直に測った距離で示す。これを馬の体高という。「き甲」は馬の背中にある背骨の出っ張りであり、鞍の先端が接する部分にある。馬が頸を挙げたり下げたりしてもこの「き甲」までの高さは変わらないので、馬の体高としては合理的な定義だと思う。

馬の身長
馬の身長


僕が所属している乗馬クラブの馬達の体高についてのデータは手元にないが、競走馬であるサラブレットについて典型的な値が知られている(日本中央競馬会・競走馬中央研究所編「サラブレットの科学」)。三冠馬のミスターシービーを一例とすると四歳時では159cm、五歳時では163cmとなっている。160cm前後が今の馬達の値である。
ところで馬と言えば日本では義経の鵯越(ひよどりごえ)が有名であるが、このころに馬は小型であったと言われている。どの程度に小型であぅたのだろうか?調べた人がいる。孫引きになるが、林田重幸氏が鎌倉幕府滅亡時に埋められたと見られる馬の骨を計測して体高を推定してる。それによれば推定体高は109cm~140cmで平均すると130cmと小型であることが分かる(鈴木眞哉著「鉄砲隊と騎馬軍団」(洋泉社:2003))。ほかにも戦国時代に埋葬された軍馬のデータがあるが、それらは130cm~140cm程度であり、極端な例では、武田の本陣があった甲府市の躑躅(つつじ)ヶ崎館跡から出土した馬は何と120cmしかなかった。
体高が147cmより小さい馬はポニーと分類されるが、その分類に従えば、鎌倉・戦国時代の日本の馬は全てポニーであったわけである。

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