馬の神々(2)

吉田芳哉著「馬の神々たち」(art life 1979. No.3)は小さな記事だが、多くの馬の神々、特に東北地方のそれについて言及している。「馬歴神」(ばれきしん)という馬の神がいる。
説明によれば、「….我国には桓武天皇延暦二十三年に空海が唐よりもたらしたもので、勅命により多賀之国府に近い国分寺の西門にあたる所に祀ったのが始めである。神体はなにやら馬頭観音像と結びついたらしく八臂形であり弘布するにあたっては産業神としてであった。本地が「房」(ぼう)の四星と言われ世に謂ふ「蠍座」(さそりざ)である。」
面白いことに、この馬の神は、蠍座を神格化したものであるということである。道教などでも星を神格化したものは多いが北半球の文化であるので殆どが北半球でよく見える星である。例を挙げてみると(窪徳忠著「道教の神々」(講談社学術文庫:1996)):
北極紫微大帝ー>北極星
北斗真君ー>北斗七星
南斗真君ー>北斗七星の柄杓とところにある六星
文昌帝君ー>北斗七星の魁星(かいせい)の近くにある六星
と北半球で見えやすい星ばかりである。唯一の例外は
南極老人星ー>カノープス(二月ごろ南の空の地平線ぎりぎりところに見える)
である。
だから、「蠍座」を神格化した馬の神である「馬歴神」は珍しい。

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