Newscientistの記事「イヌの家畜化はヒトが余分になった食料をオオカミに与えたことによる偶然の産物」より。
イヌは狩猟民によって家畜化された唯一の動物である。他の動物は農耕が始まってから家畜化されたものである。しかしイヌは何時、どのようにして家畜化されたのかは不明である。
イヌのDNAの解析からイヌは27000年から40000年の間にオオカミから別れて進化したことが分っている。イヌの埋葬遺物の最古は14200年でありこれ以降イヌはペットとしての役割を持ったことになった。
しかしこの家畜化はヨーロッパで起きたのか、アジアで起きたのか、それとも多地域で起きたのかもはっきりしない。
イヌの家畜化には狩猟の手助けのために行ったという説やオオカミが餌を求めてヒトの残飯を漁っているうちにヒトに慣れた結果であるという説などがある。
Maria Lahtinen (Finnish Food Authority in Helsinki )たちは肉の過剰がイヌの家畜化を理解するキーであると示唆している。
イヌはユーラシアの北部の大半が氷床に覆われた今より寒冷な時代に家畜化されている。この時代はオオカミとヒトは食物連鎖の頂点にあり食物を巡り競争者であった。
オオカミは蛋白質だけを含む肉だけで数ヶ月も生存できるが、ヒトはそうでない。ヒトは脂肪のような他の食物も摂取しなければ生存できない。
研究者たちは北極地域で捕食動物から得られる肉の量を計算してみた。当時はヒトが消費する肉以上が得られることが示唆された。ヒトは消費できながオオカミは消費できるという訳である。
狩猟民たちは両親を失ったこどものオオカミあたりを肉を与えたりして最初はペットのようにしたのではないか。その後この動物は狩に有能であることから本格的なイヌの家畜化が起きたと研究者たちはみている。