馬の睡眠について興味ある記事を見つけた。
“How Horses Sleep” である。馬は多くは立ったまま目を閉じて睡眠をとる。床に寝そべって寝るのが最もリラックスした状態だろうから、立ったまま寝るという状態はある種の緊張状態で馬の脳は休んだ状態にないように思われる。睡眠が脳に貯まった情報をパージして脳をリセットする機能を持っていて、睡眠をとらないと死に至ると言われている。馬は脳に必要な休憩をどのようにしてとっているのだろうか。この疑問は馬の脳の構造から答えることが出来る。ヒト脳では大脳は左右両半球に別れているが、この両半球は脳梁という大きな繊維でつながっている。この脳梁は左右の機能を統合する機能を持っている。両眼視で視差情報を使って対象物までの距離を測るなどができるのもこの統合機能があるからだ。ところが馬にはこの脳梁が欠けているらしい(馬は両眼視の視差情報を使った距離感が持てないとよく言われるのと合致する)。脳の左右両半球は独立に機能するらしいのだ。馬の立ったままの睡眠では、片方の脳を使い緊張状態を維持しているのではと思われている。このようにすれば、もう半球は休憩できる訳である。鳥の脳にもこの脳梁が欠けている(渡辺茂著「鳥脳力ー小さい頭に秘められた驚異の能力」)。
馬が立ったまま睡眠をとる習性は馬が野生にあって周囲を警戒しながら睡眠をとらざるをえなかったことからくるのだとおもうが、それに見合った脳の構造を持っているのは大変面白い。
乗馬クラブにいる馬たちは最早周囲を警戒して睡眠をとる必要がないが、僕らのクラブの馬は立ったままと床に横たわる馬は半々程度だそうである。しかし、月曜日の夜(次の日は定休日)は殆ど全ての馬が横になって寝るそうだ。サラリーマン化している訳だ。馬の中にはまた居眠りを得意とする馬がいる。乗馬レッスンの帰りに緊張が緩んだのか曳き馬中に居眠りをして豪快にひっくり返ってしまった馬がいた。