日本の学問

「日本の学問」(松島栄一著)という古いが興味ある本がある。日本の学問は近代になってヨーロッパの学問の方法を受け入れその方法論を消化して発展するわけであるが、それ以前の日本の学問の性格やヨーロッパの方法論を受け入れる素地を担った近世の日本の学問の系統を論じたものである。

近世までの日本の学問の特質を著者は以下の纏めている:

「すでに書物に記されている教説=教理を学び、それにより諸事万般を判断してゆこうとすることが学問である。『読書百編、意おのずから通じる』という一句はこの学問の姿をよく現している。」

一方ヨーロッパの学問の方法論は

「つねに疑問をかかげ、全てのものに批判的態度で接し、また考え、事実を明確にし、その事実にもとづいて判断してゆく。」

近世の日本の学問の中にこのようなヨーロッパの学問の方法論の萌芽があったのか、あったとすればどのようなかたちであったか。このようなことを考えてみよう。

 

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