陳舜臣氏の著作に「中国名言集:弥縫録」という面白い本がある。
最初の話題が弥縫録(びほうろく)と備忘録(びぼうろく)である。
日本では弥縫(びほう)という言葉は「とりつくろう」、「一時しのぎ」等ネガティブな意味に使うことが多い。
中国の古典でこの言葉が最初に使われたのは「春秋左伝」で紀元前700年ころで、意味は「蟻の這い出る隙間もないほど」つまり「なにひとつ逃さずひろいあげようすること」だそうだ。日本とはほぼ逆の意味である。
著者はこの意味で弥縫録(びほうろく)を本の題名したと述べている。
「弥縫録」私が孤島に一冊持ってゆくなら、大学生の頃から40年ほど幾度も無くし買い求め、またまったく新しい気持ちで読むことの出来るのこの本です。
陳舜臣さんのその幅の広く奥の深い中国の歴史や文化に対する膨大な知識を、緻密な表現と確かさのあるウィットも忘れない文章で書かれていて毎回ひれ伏して読んでいます。
この本を取り上げてくださってありがとうございました。