Cosmos・Universeとしての「宇宙」

CosmosやUniverseの訳語としての「宇宙」がいつごろから使われはじめたのか考えてみた。

「宇宙」という漢字が存在したのはかなり古い時代からだ。広辞苑によれば「宇宙」の項で「淮南子の斉俗訓によれば、『宇』は天地四方、『宙』は古往今来の意。」とある。「宇宙」という漢字は中国古代で既に使われていたことになる。

一方ヨーロッパの学問に現代的なCosmosやUniverseが登場したはいつ頃のことだろうか?ジョルダーノ・ブルーノの「無限、宇宙及び諸世界について」の16世紀あたりだと思う。彼は宇宙の無限性を強く意識していて、思弁的ではあるが現代宇宙論につながるところがある。彼はコペルニクスの1世紀ばかり後の人である。

コペルニクスの地動説を我が国に紹介したのは志筑忠雄(しづきただお)の「暦象新書」であり、18世紀の終わりのころである。また地動説の普及に貢献した司馬江漢の「和蘭天説」がある。これは寛政8年(1796)の刊行である。そこに描かれている地動説の図には一番外側に「恒星天」が描かれている。

この「恒星天」がどこまで拡がっているのだろうか、と疑問を持った時に「宇宙」という言葉が出てくるように思われる。それは明治以降のことかもしれない。