中世イタリア商人の世界-ルネサンス前夜の年代記

中世イタリア商人の世界(清水廣一郎著)という面白い本がある。イタリア・ルネサンス直前(14世紀)のフィレンツェの商人、ジョヴァンニ・ヴィツラーニが書いた年代記を紹介しつつ、当時の都市国家としてのフィレンツェの様子を紹介している。

日本でも堺が商人の町として自治権を持っていたことが知られているが、都市国家というのはその規模が桁違いに大きなものである。例えばフィレンツェでは商人たちつまり市民が暮らす市街地以外に東京都や神奈川県の大きさの規模の農山村地帯を支配地域として持っていた。これらの農民は支配される側の人々であった。商業で利益をあげることもあったわけであろが、このような農民支配は都市国家の経済的基盤であったのであろう。