「左か右か」:混乱する脳

これは最近のNewScientistの話題の一つである。

多くの人々が「左に行って」「右に行って」という左右の方向を伴なう指示に混乱してしまうという。その問題である。

これらの指示は「前に行って」「後に行って」という前後の方向を伴なう指示に間違いなく対応できることを考えると対照的である。

これは人間の体がほぼ左右対称にできていることと関係するのかもしてない。また人の「歩く」や「走る」といった歩様も左右対称なことも左右の認識を曖昧にしているのかもしれない(馬の駈歩のような左右非対称歩様を持っているとどうだろうか)。

記事ではある人は

幼いころ右親指をしゃぶる癖があり大人になっても左右の親指の形が違っていてそれを手掛りの左右の問題を処理できているそうである。

またある人は

親指と人差し指を90度に開いたときに文字Lを作る方が左である。これを使う。とっさのときに役に立つかなあ。

ビザンチィン帝国とルーマニア

表題の「ビザンチィン帝国とルーマニア」のどちらも中央ヨーロッパにあった帝国であり、現在もある国である。そして二つともローマに関係が深い。

われわれはとかくヨーロッパと言うと西欧に目をむけがちであるが、中央ヨーロッパの考古学や歴史に触れてみると中央ヨーロッパはヨーロッパの先進地域であったことがわかる。

ビザンチィン帝国は紀元4世紀にローマ帝国が西と東に分裂したときの東のローマ帝国である。コンスタンティノーブルを帝都にキリスト教を国教とするギリシャ語を話す「ローマ帝国」であった。西のローマ帝国が5世紀にはさっさと滅亡してしまった後は唯一のローマ帝国としてその後一千年も生き延びた。最盛期にはヨーロッパで最も栄えた都がコンスタンティノーブルであった。常にローマを意識した帝国であった。

ルーマニアも面白い。ルーマニア(Romania)は「ローマ人の国」を意味する。中央ヨーロッパで唯一ラテン系の言葉を話す国である。ルーマニアもローマ帝国の属州になったことがあるがどのようにしてこのような言語になったかは興味深い。ルーマニアの歴史は紀元3世紀から紀元13世紀あたりの一千年は不明な点が多い由。このように時代にビザンチィン帝国との交流があったのかもしれない。

M51-ULS-1b:最初の銀河系外惑星(候補)

われわれの銀河系には沢山の惑星(太陽系外惑星)が発見されているが、表題のM51-ULS-1bは銀河系外(われわれの銀河系の外にある)惑星の最初のものになるかもしれない。M51は猟犬座の方向に8.6メガパーセク(28光年)のところにある有名な子持ち銀河である。

この銀河にあるX線を出している恒星(中性子星またはブラックホール)の伴星がM51-ULS-1bである。この惑星がX線源を横切るときに僅かにX線の強度が落ちる。この現象を見つけて惑星(候補)の発見になった由。

この惑星は木星の半径の0.7倍程度の大きさを持つ。星が水素の核融合を初めるためには質量の下限があり太陽の100分の1程度だとされており、これより質量が大きいと自ら光る恒星になる。木星は太陽の1000分の1程度の質量しかないので恒星になれない。M51-ULS-1bもその程度の質量だと思われる。それで惑星だと推測したものである。

 

オリオン星雲(M42)を見つけよう

冬の星座として顕著なオリオン座にM42と名づけられた星雲がある。この星雲は恒星を作る材料である物質が豊富にありそれらが最近誕生した若く明るい恒星の光を吸収して輝いていたり光を遮蔽したりして複雑な輝きの分布を示す星雲である。

大きな望遠鏡で見るとこんなふうに見える。鳥が飛んでるように見える星雲だ。

この星雲のオリオン座中の場所はこれで。

超新星爆発「木に記録か」:年輪の炭素14濃度が急上昇

朝刊の記事のタイトルである。

太陽系の近くで過去にあった超新星爆発の影響を地球の木が記録している可能性があるという話。米国コロラド大学の研究者たちの発見である。

コロラド大学のロバート・ブレーケンリッジ博士たちは古い木の年輪に含まれている放射性元素(炭素14)を調べた。年輪に含まれる炭素14が急上昇する例をいくつか見つけた。これは木が光合成をする際に大気から吸収した炭酸ガスにこの炭素14が沢山あった年代があったことを示唆している。

超新星爆発との関連を見ると南天のほ座の方向約815光年の先ある恒星が1万3000年前に起こした超新星爆発(現在は超新星残骸と中心なる中性子星によるVelaパルサーとして観測されている)を初め4例は炭素14の急上昇と対応関係があるとの由。

炭素14の上昇は太陽フレアでも起こるが博士は超新星爆発との関連も調べる価値があると述べている。

 

放送大学構内の秋

昨日は天気がよかったので東北大学片平キャンパス構内にある放送大学の建物(旧東北大学理学部生物棟)の周辺の秋をカメラに収めた:

紅葉と古めかしい建物

 

光と影そしてブナ
紅葉の写り込み

砂丘の動力学:砂丘はお互いに「コミュニケーション」している

砂の集合体は面白い性質を持っている。砂時計がそのよい例である。

Newscientistにあった記事であるが、その砂の集合体である砂丘が動く機構の話題である。

ケンブリッジ大学の研究者たちは実験でこの機構を調べた。実験で使った装置は「dune ‘racetrack’」と呼ばれているものである。回転する円筒型の水槽中に砂丘を見なした同じ大きさの砂の塊を二つ離して置き、装置を回転(水も回転運動をする)してこれらの塊の動きを観察する。

水は粘性があるので回転槽よりゆっくりと回転する。だから回転槽に乗ってみると水は回転槽の反対方向に回転する流れを作る。この流れで二つの砂丘は移動する。この二つの砂丘の移動の様子をカメラで撮影した。この動きが面白い。

最初のうちは上流側にある砂丘が下流側にある砂丘に近づく動きをみせるが、徐々に上流側にある砂丘の接近速度が落ちて下流側にある砂丘と同程度になる。さらに観察すると今度は下流側の砂丘が上流側の砂丘から離れる動きをする。この動きは長く続き、二つの砂丘が180度も離れるまで続く。ここが平衡点らしい。このような動きは上流にある砂丘がその下流に作る乱流によるものと考えられている。

砂丘群の動きは個々に砂丘がかってに動くのではなく、お互いに相互作用をしながら動いているわけである。このようなメカニズムが砂丘が作りだす見事な波型パターンの形成に関わっていると研究者たちはみている。

 

 

種苗法「改正」の問題点:農家の自家増殖を原則禁止

今朝の新聞の記事のタイトルである。

食は人間の生活に必須。その食を担う農業で栽培植物の種や苗の扱いを定めたものが種苗法であるが、「改正」の動きがある。

この新聞の記事はその問題点をシリーズで載せている。

種苗法では新品種を開発して登録した場合、開発者の知的財産を保護する(育成者権)。同時に種苗法では農家が購入した種や苗を育て収穫して翌年再び自分の農地でこれを種苗として使うことを認めている(自家増殖)。

「改正」では登録品種については自家増殖を原則禁止とし、農家は毎年許諾料を払わないとこの品種を使えない。

調査では5割程度の農家が登録品種を使って自家増殖を行っていて、この「改正」の影響は大きい。しかも特産物には登録品種が多い。例えば米では、作付け面積が多い「コシヒカリ」。これは育成者権がいない一般品種だが、「コシヒカリ新潟BL」は登録品種である。このように細かく見ると登録品種は多い。またブドウでは登録品種は9パーセントだといわれているが、山形県では大粒種だと56パーセントと多い。北海道のコムギは99パーセント、大豆が86パーセント、沖縄県のサトウキビは50パーセント以上が登録品種である。

今回の「改正」の理由は優良品種の海外流出を防ぐためだとされている。
しかし、海外流出と不法な海外での使用を止めさす決め手はその品種を海外でも登録することである。これまでは政府は海外での品種登録をサボっていた。これが原因である。

 

 

どくろ星雲の新画像:欧州南天天文台が公開

今日の朝刊の記事のタイトルである。

南天にある惑星状星雲をチリにある欧州天文台(ESO)の超巨大望遠鏡(VLT)で撮影した画像が公開されたという話である。

この惑星状星雲、「NGC246」は距離1600光年のところにある。この惑星状星雲を作った赤色超巨星は現在は白色矮星として観測されているが、この星は見えない褐色矮星を含め三つの星からなる連星系をなしているという。これらの影響なのかこの惑星状星雲は素直な球形にならず歪な形をしており、ヒトの頭のように見えることから「どくろ星雲」と呼ばれている。画像がここで。