奈良:「石仏の道」

このブログでも奈良にある巨石遺構を話題にした(飛鳥道の巨石文化)。奈良には石仏も多い。「大和路散歩」では頭塔(ずとう)から東に向かい柳生街道を進み円成寺にいたる道を「石仏の道」として紹介している。確かにこの道は石仏が多い。

主なものを挙げると

  • 頭塔の石仏:塔(方形土壇)のまわりに十三個の自然石がありそこに仏菩薩などが薄肉彫で刻まれている。
  • 寝仏:柳生街道の旧道である滝坂道にある。
  • 夕日観音:「その表情笑ふか如く、また泣くがごとし」(会津八一)
  • 朝日観音:弥勒仏で鎌倉中期の文永二年(1265)の作。
  • 春日山石窟仏:東西二窟に金剛界と胎蔵界の諸仏を彫出している。平安末期の作。
  • 地獄谷石窟仏:線刻されたもの。平安時代の作。彩色は昭和。

以上と多彩である。この道には新薬師寺(十二神将像)や円成寺(大日如来像)といった興味ある仏像が見られる道でもある。

 

The Pencil of Nature:世界最初のフォトブック

“The Photobook: A History”(Martin Parr and Gerry Badger)という厚めの本がある。フォトブックの歴史を詳述したものである。その冒頭に出てくるのが”The Pencil of Nature”である。「自然によるスケッチ」とでも訳されるタイトルの写真集である。

この本は写真が挿絵に使われて出版された世界最初の本で、著者は W. H. F. タルボット(William Henry Fox Talbot )である。1844年から1846年にかけて6分冊としてロンドンで出版された。フランスのニセフォール・エスプリが世界最初の写真を撮った1827年から約20年後のことである。

この本ではタルボットが開発したカロタイプ(ヨウ化銀による撮像法)の詳しい説明があり計24枚の写真が手貼りされている。この本は写真の歴史の上で画期的なものでこの本の出版は「本の芸術」上、グーテンベルグの活字の発明以来の画期的な出来事である。

当時は一般の人たちには写真は馴染みがなかったのでタルボットはこんな注を入れている:
この本に挿入されている画像は芸術家のペンのような助けを一切なしに光の作用だけで作られたものである。それらは太陽が画家となつた絵で、誤解する人がいるかもしていないが、何かを模倣したエッチングではない。

この本は分冊毎に販売された。タルボットは続分冊の出版を計画していたようだが、本は商業的には不成功で、計画は6分冊で終わってしまった。

以下画像を紹介する。

この本の表紙

挿入されている写真

この写真は写真芸術の潜在的な可能性を示すためにタルボットが選んだという。

シリーズ中唯一人物が映っている写真。露出時間を長くしないと作品にならなかったことが理由の由。

“The Photobook: A History”によれば”Photographs of British Algas: Cyanotype Impression” ( Anna Atkins)が1843年と年代ではタルボットの作品より古いがこちらは個人的な範囲に配布されたパンフレットに近く、フォトブックとしてはタルボットのThe Pencil of Natureが世界最初のものである。

スクエア・フォーマット(6×6)に纏わる話題

フィルムカメラの世界では35ミリ版(24X36ミリ)が一般的な画角である。ライカが最初にシネサイズの18×24ミリ判の2コマ分を1コマとして使ったことに由来する。小型カメラの画角はこれが標準で、僅かにその半分を使った画角がその変種である。このハーフ・サイズのカメラとしてはオリンパス・ペンが有名である。変わったところではソ連製のアガート18Kといったものもある。

ソ連製のカメラ、左がアガート18K

ブローニー・フィルム(幅6センチのロールフィルム)を使った所謂中版カメラではもっと自由度がありさまざまな画角が使われてる。6X4.5センチ版、6X6センチ版、6×7センチ版、6X8センチ版、6×9センチ版がある。6X4.5センチ版は35ミリカメラから中版カメラに移行した写真愛好者が使っていた。筆者もマミヤ645プロTLでこの版を使ったことがある。6×7センチ版も使ったことがある。カメラはマミヤプレス スーパー23で1967年製の古いカメラであった。

マミヤプレス スーパー23

表題の「スクエア・フォーマット」は6X6センチ版のことである。スウェーデン製のハッセルブラッドがこのスクエア・フォーマットの専用機として有名である。ドイツのローライSL66も専用機である。

ディジタルカメラになるとこの画角はアスペクト比(縦・横比)と表現される。一台のカメラでさまざまなアスペクト比が設定できるようになっている。筆者の使っているソニーRX10M4では3 : 2(アスペクト比1.5)、4 : 3(アスペクト比1.3)、16 : 9アスペクト比1.7)そして1:1(アスペクト比1.0)の画角が使える。3 : 2は伝統的な35ミリフィルムカメラのアスペクト比である。一方、このカメラの撮像素子は1.0型(13.2mm x 8.8mm) であり、アスペクト比は3:2であることに注意する必要がある。アスペクト比3:2以外で設定できるアスペクト比はソフト的にできるということである。

スクエア・フォーマットが面白い。最近はこのフォーマットで写真を撮っている。その一端はここにある。

飛鳥道の巨石文化

大和路散歩という本を眺めていたら、飛鳥道に沿って大きな石による遺構が沢山あることに興味を持った。

飛鳥が日本の支配者たちの都であったのは紀元六世紀ごろのことであるが石の遺構も同時代のものなのであろう。

  • 石舞台古墳:70トンもある巨石が石組みの上に載っている。これはアイルランドのプルーナブローンを彷彿させる。こちらは紀元前3000年あたりの年代であるが。
  • 益田岩船:800トンもある巨石で、しかも方形の穴が二つあいている。
  • 亀石:亀の形に加工された巨石。
  • 吉備姫王墓の猿石:平田村池田という場所の田んぼから掘り出されて古墳の南側に置かれていた。
  • 酒船石:長さ6メートルもある石で、表面に奇妙な模様が彫られている。
  • 橘寺の二面石:ユーモラスな表情が二面に彫られている。

など飛鳥路は石の文化としても面白い。

銭形神社の不動尊

昨日は天気もよかったので近くの青葉区花壇にある「銭形不動尊」に行って見ました。

藩祖政宗のつくった仙台藩の通貨、「仙台通宝」の鋳造に使った鋳型石版が不要になったのでその裏に不動尊を彫って祀ったものと言われている。江戸初期に作られたものかもしれない。残念ながら像にはヒビが入っている。
(文・写真:TA)

不動尊全像
不動尊ノ頭部
不動尊の腕
不動尊の脚