発効へあと5ヵ国:核兵器禁止条約マルタが批准

今朝の朝刊の記事のタイトルである。

核兵器禁止条約は2017年7月7日、122カ国によって採択。50カ国目の批准書が国連に寄託された後90日で発効する。

9月21日地中海の島国マルタが核兵器禁止条約の批准書を国連に寄託した。これで同条約を批准した国は合計45カ国となった。

香料の道:鼻と舌:西東」:「丁子(ちょうじ)=クローブ」と「ナツメッグ」

普通にスパイスというとき、モルッカのクローブとバンダのナツメッグ、それにインド・セイロンのシンナモンの三つをスパイスのビック・スリーという。インド(マラバル)とジャワ(スマトラ、ブルネオ)のペッパーは別格の扱いで、ペッパーはそのままの名称で呼ばれる。

クローブはオイゲノールを主成分としている。このオイゲノールは香料の中で最も殺菌力と防腐性が強いので食品を味付けと保存に適している。

中国に伝わったのは後漢あたりである。グローブの乾燥花蕾のかたちが釘状であることから丁子(ちょうじ)または丁香と呼ばれた。

一方、ナツメグそしてカーダモンは胃腸の妙薬であった。ナツメグは中国でも薬物で、肉豆蔲(にくすく)と言った。

 

 

最古の合金(?)

“The Horse, the Wheel and Language”(David W. Anthony)を読んでいたら最古の合金ではないかなという記述にであった(p. 256)。

黒海・カスピ海ステップで乗馬の習慣を獲得した人々は西に向かって移住を始めた。紀元前4200年ごろドニエプル川渓谷から来たと思われる遊牧民がドナウ川三角洲の北の端に現れた。三角洲の北の湖の多い地方はボルガード文化を持っていた古ヨーロッパの農耕民が暮らしていた。かれらはステップの人々が現れると同時にその地を去った。

この移住してきた人々が作った文化がスヴォロヴォ・ノヴォスヴォボドナヤ複合体である。その墓地から出土した遺物の中に銅とヒ素の合金で作られた腕輪がある。

原文では以下のような記述である:

「N.Ryndinaによって解析された8個の金属性の物体の内6個は典型的なヴェルナ・Gumelni\c{t}aタイプでバルカン山脈由来の鉱物からできていた。一つの腕輪と一つのリングはこれまでにヴェルナやGumelni\c{t}aタイプではなかった意図的な銅とヒ素の合金(それぞれ1.9%と11.2%のヒ素含有量)でできていた。」

これらの合金は最古の合金ではないかなと思う。

「香料の道:鼻と舌:西東」:「胡椒(こしょう)」

胡椒は帝政時代のローマで熱狂的な人気をはくした香辛料である。「長胡椒」が最も人気があり、次いで「白胡椒」、「黒胡椒」の順である。

「白胡椒」と「黒胡椒」はPiper nigrumという蔓性の潅木の果実を乾燥したもので、白黒の違いはその果実の熟成度や製法の違いによる。インド南部が原産。一方インド北部を原産地とするのが「長胡椒」である。多年草潅木Piper Longumで果実は長く穂状につき、そのまま乾燥させたものである。

サンスクリットで長胡椒はpippali、普通の胡椒はmarichaという。ギリシア語ではpeperi、ラテン語ではpiperとなりこれらがヨーロッパ言語の胡椒の語源になっている。つまりヨーロッパ言語の胡椒は「長胡椒」のことである。

 

 

白色矮星周囲に巨大惑星か?

今朝の新聞の記事のタイトルである。

りゅう座の方向に約80光年の距離にある白色矮星の周りに巨大惑星が存在する可能性が高いことをヴィスコンシン大学の研究者たちが発表した。

この白色矮星、WD1856の周りに天体があることを衛星の観測で発見、地上観測でも確認。この周回天体は木星とほぼ同じ大きさで、質量は13.3倍以下と推定された。白色矮星が惑星を従えているのは珍しい例である。この惑星は従ってこの白色矮星の質量の数百分の1程度であるが、大きさはこの白色矮星より大きい。イメージ図はここ

太陽もあと50億年程度で質量の半分程度を周囲に放出し惑星状星雲を形成、残りの半分程度の質量で白色矮星となる。こんな状況で太陽系の惑星はどうなるのだろうか?

 

「香料の道:鼻と舌:西東」:「肉桂=シンナモン」

古代のエジプト・オリエントそしてギルシア・ローマの香料は乳香・没薬・肉桂であった。そこでは肉桂=シンナモンもエジプト南部・東アフリカ原産と思われていた。

肉桂は南シナ、南インド・セイロン、ビルマ、ベトナム、マレー諸島の原産であり、インド以西では産しない。「香料の道:鼻と舌:西東」(山田憲太郎著)の著者はこの泰西の肉桂は現在の肉桂と別物ではないかとしている。

肉桂の香味と刺激はシンナミック・アルデヒドによるが、産地によってかなりの味と匂いと刺激の相違がある。シナ肉桂(カッシア)と南インド・セイロンの肉桂(シンナモン)との相違も大きい。

「香料の道:鼻と舌:西東」:「乳香」と「没薬(もつやく)」

「香料の道:鼻と舌:西東」(山田憲太郎著)という面白い本がある。

われわれの身のまわりには実に様々な香料が使われており、使っている。この本はその香料の歴史を東西世界の規模で叙述したものである。

人類の歴史に登場する最初の香料は「乳香」と「没薬(もつやく)」である。何れも南アラビア、東アフリカで採取される芳香ゴム樹脂である。

人類は香料を「焚香料(incense)」、「化粧料(cosmetics)」そして「香辛料(spices)」として使ってきたが、乳香は焚香料であり、没薬は化粧料の用途が大きい。没薬(もつやく)の「没」は苦味(ビッター)を表す漢字であり、その名前からして没薬は苦い。薬としても使われていた。

170万年前に温泉料理?

今朝の新聞の記事のタイトルである。副題で「人類、火を使う前に食べた可能性」とある。

人類が火を使ったのは70万年前あたりと思われているが、それ以前に温泉のお湯を使って調理をしていたのではという話である。

ボストンのMITの研究者たちは2016年、南アフリカ・タンザニアのオルドバイ渓谷で発掘調査をした。ここではこれまで猿人や原人などさまざまな人類の化石が見つかっている。アィナラ・システィアガ博士たちは人類の遺跡がある約170万年前の地層から採取した岩石の付着した有機物を解析した。

その結果、温度が80度以上のお湯のなかでしか生育しない微生物が作り出す有機物が付着していることが分った。これは遺跡に温泉があったことを示す証拠であると研究グループは考えている。

人類はこの温泉を何らかのかたちで利用していたにちがいない。その一つが調理だ。「温泉たまご」だって作れたはずだ。

 

落語「鰍沢(かじかざわ)」

落語の話がでたのでもう一つ落語の話題を書くこにする。

「鰍沢(かじかざわ)」という演題の落語がある。「古典落語 正蔵・三木助集」で読める。

僕は山梨県に住んでいたことがあるので鰍沢(かじかざわ)というマイナーな地名は知っていたが、この地名を知って人は多くはないように思う。

近世ではこの地名は江戸あたりでも知られていたらしく、この話は園朝が幕末のころ「三題噺」の一つとしてまとめたものである由。以前富士川の水運のことを述べたが、鰍沢がその水運で活気付いていたそんな時代の話である。

「御の字(おんのじ)」:落語「大工調べ」から

似たような成句に「御の字」というものがある。落語の「大工調べ」(古典落語:小さん集)を読んでいたときに出会った言葉である。

落語では

与太郎が家賃を一両二分と八百文もためてしまって大家に大工道具をもっていかれてしまった。仕事ができたのでこの借金を払って大工道具を取り返そうとする。棟梁が手元に一両二分しかなく、残りの八百文をどうするか。大工の与太郎とその棟梁の政五郎の会話である(二分は二分ノ一両、八百文は五分ノ一両)。

「じれッてなあこの野郎、八百足りねえと、こういうのか」

「あッそうだ、いやあ棟梁、勘定がうめえな」

「張り倒すぞ、この野郎。一両二分と八百ッとこィなあ、八百持ってって言い訳するんじゃァねんだ、一両二分持ってくんだい、八百ぐれぇおんの字だよ」

「なんだ、おんの字てえなあ」

この後の政五郎の説明はなにかよくわからないが、「(一両二分持って行けば)、八百文足りなくても十分だ」だという意味で「御の字」を使っている。