150万キロ先の観測地点到達:NASA次世代宇宙望遠鏡

今朝の新聞記事のタイトルである。

ジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が地球から150万キロ離れた観測地点に到達したというニュースである。この距離は地球・月間距離の4倍になり、観測地点は太陽・地球を延長したL2点の呼ばれるところである。望遠鏡は常にこの地点にあるので太陽及び地球は常に望遠鏡の背後にある。宇宙から来る赤外線で宇宙を観測したいのでその強い雑音源となる太陽や地球の影響を抑えるこができる。

JWSTの反射鏡主鏡の口径は約6.5mに達する。これはHST(口径2.4m)の2.5倍で、面積は7倍以上にもなる。この点から、HSTをしのぐ非常に高い観測性能が期待されている。このような大きな反射鏡は一枚鏡では無理で、18の分割鏡で構成されている。これから分割鏡の組み立てと調整が行われるという。赤外線は可視光と比較して波長が長いので鏡の面精度は多少劣っていてもよい。分割鏡の出番である。

今年の4月ごろから本格的な観測データが得られるようになる。

 

東山道・奥大道・奥州街道

東山道は古代の多賀城府までの道であり、名取の「東街道」などにその面影をみることができる。

奥州街道は近世の東北地方の幹線だった街道で「宿場町」にその面影をみることができる。

奥大道は中世奥州藤原氏が作った道である。東山道を途中から分岐して北上する道である。分岐点は東山道が七北川と交わる仙台市岩切で、付近には中世の板碑が沢山残っている「東光寺」という古刹がある。奥大道はここから七北川に沿って北上していた。この分岐点は交通の要衝で河原宿といい、五日市場・冠屋市場などの「市」が立ったという。

奥大道はここから北上して青森県北東部の陸奥湾に面した外ヶ浜(そとがはま)まで伸びていた。

オミクロン株構造解析:変異しても結合力

これも今朝の新聞の記事のタイトルである。

オミクロン株が如何にしてワクチン耐性をもっているかを遺伝子レベルで解析したという記事である。

オミクロン株はウイルス表面のスパイクたんぱく質に従来株の3-5倍もの多数の変異があるのが特徴。ワクチン接種でヒトの体にできる抗体はこのウイルスの表面のスパイクの一部と結合してヒトへの感染を防ぐ。オミクロン株には抗体が結合できなくなるスパイクができていて「免疫逃避」ができている。これがワクチンが効かない機構である。

一方ヒトへの感染のメカニズムはウイルスのスパイクたんぱく質の受容体結合部位(RBD)がヒト細胞表面の受容体たんぱく質(ACE2)と結合することによる。

ACE2と結合したウイルスのスパイクたんぱく質を調べるとそのたんぱく質の493,496,498番目のアミノ酸が別のものに置きかっっていることがわかった。これがACE2との結合しやすさを増やしている。

このような新たな仕組みは「免疫逃避」を持つためにできた417番目のアミノ酸の置き換え(この置き換えでACE2との結合が弱くなってしまった)を補完する役割を果たしていることが分った。

これらはカナダのブリティシュコロンビア大学の研究者たちが見つけた。

核兵器禁止条約発効きょう一年:核なき世界へ流れ大きく

今朝の新聞の記事のタイトルでる。

核兵器禁止条約が発効していたら22日で1年を迎えた。批准した国は59カ国に達した。締約国会議へのオブザーバ参加を表明した国々はスウェーデンを初めとして10カ国に拡がっている。

【追加】

23日の新聞には全米市長会議提案者アイオワ州デモイン市長T・M・フランクリン・カウニー氏へのインタヴューが掲載されていた。その中で氏は

「『核抑止』という考えは救いがたい思い込みである。……より多くの核兵器を展開すれば、核戦争が行われる可能性はより低くなるーという狂気じみた前提に基づいている。」と指摘している。

 

トンガ「津波」は大気中を伝播したソリトン?

日本で観測されたトンガ「津波」は海面を伝播してきた津波以外に大気を伝播してきた大気圧変動が重なって海面の上昇をもたらしたと考えられている。

不思議なことにトンガと日本との間にある領域では大した津波を観測していないところもある。海面を伝播してきた通常の津波に対して大気を伝播してきた大気圧変動がかなり狭いものであったことを窺わせる。この変動はソリトン(粒子波)だったのかもしれない。

与謝蕪村の句(6)

○たんぽぽの
わすれ花あり路(みち)の霜 蕪村

蕪村にはたんぽぽを詠んだ句が多い。

○裾(すそ)に置(おい)て
心に遠き火桶(ひをけ)かな 蕪村

火桶を手元おきながら遠くをぼんやり眺めている。

○鋸(のこぎり)の
音貧しさよ夜半(よは)の冬 蕪村

音がなおさら冬の寂しさを強調している。

オミクロン株は生まれるべくして生まれた

ウイルス学には素人だが

「オミクロン株は生まれるべくして生まれた」という印象を強く持っている。この突然変異が優勢になり従来のものに置き換わるタイミングとその勢いを見るとその印象は強くなる。

ワクチンの普及により従来株は繁殖を抑えられてしまった状況でそのワクチンに耐性を持つ突然変異が生まれたとしたらこの突然変異は増殖に極めて優位な立場を得ることになり大増殖をする。これがオミクロン株だと思う。

このようなワクチンに耐性を持つ突然変異は以前にも生まれてきていると思われるがワクチンが普及していない状況では従来株に対して優位な立場になかったので消滅してしまっていると考えられる。オミクロン株の大増殖はワクチンの普及によって引き起こされたものと言えるのではないか。

因みに現行のワクチンがオミクロン株に対して効かないのではないかということはオミクロン株の拡大の初期には指摘されていた。例えば、「東京都 オミクロン株感染者 約7割はワクチン2回接種済み」(2022.01.05) 。しかし何故か最近ではこの種の統計データに触れたニュースは全く無くなってしまった。

このような状況でなにをすればよいか?

  1. オミクロン株にも有効な新しいワクチンを開発する動きがある。これはよほど慎重にしないと「イタチごっこ」になる可能性がある。新たな突然変異による大感染になりかねない。しかもその新種がどのような性質を持つことになるのかは全く予測不可である。
  2. 幸いオミクロン株は従来株と比較して「重症化」の割合が低いと言われている。また、現行のワクチンも「重症化」を弱めると言われている。さらに従来株も含めて感染者が獲得した免疫は新たな感染予防に極めて有効であると言われている。
  3. まずは感染者のなかの「重症化」の割合を下げること。それには「重症化」に陥りやすい社会層に対して有効な対策を講ずることである。
  4. 「重症化」の割合が低いといっても感染が急拡大すると重症者は増加して医療逼迫を起こす。感染の急拡大を起こさないような感染対策を採って感染をコントロールする。
  5. このようなウイルスとの共生の実現は長い時間を必要とするだろう。それに耐えうる社会構造の変革やその影響を強く受ける社会的弱者に対する施策が必要になる。

核禁条約実践特別な責任:原爆生誕の地から表明

今朝の新聞の記事のタイトルである。

米西部ニューメキシコ州を管轄するカトリックのジョン・ウェブスター・サンタフェ大司教が11日核兵器を開発するロスアラモス研究所を抱える大司教区として、「核兵器禁止条約を支持するだけでなく、米国も含めて条約の積極的な実践を促す特別な責任を負っている」と表明した。

バチカンは「核抑止力」論を肯定する立場を転換し、核兵器禁止条約の成立を推進し率先して署名・批准したと紹介している。

与謝蕪村の句(5)

○古傘(ふるがさ)の
婆裟(ばさ)と月夜の時雨哉 蕪村

「婆裟」という擬声語が大変面白い。

蕪村による注:「月婆裟と申事は、冬夜の月光などの木々も荒蕪いたる有りさまに用ひ候字也。・・・・ばさと云響、古傘に取合いよろしき歟と存候」

カクと拍車(はくしゃ)

蕪村の句にこんなのがある:

○雪の戸に
格(かく)を当(あて)ゆく木履(ぽくり)かな 蕪村

この格(カク)である。脚注には「格を当=鐙の具(カク。細い金具)で馬のわき腹を蹴り、速く走らせること。」とある。和式馬術で使ったもの。実物を見たことばないが、拍車と同じ機能を持っているように思われる。

句の意味は

雪を噛んだ木履を戸にトントンと当てて落としているよ